2016/09/20
手前味噌の天地返しをおこないました
もともと味噌や納豆などの発酵食が大好きな私はすっかりその味わい深さ、奥深さに魅了され、ここ2年ほど手前味噌づくりをおこなっています。
写真は今年の2月、室内でも2~3度という寒い中で仕込んだ味噌を天地返ししている様子です。久しぶりに容器のふたを開けてみると、ふわっと発酵途中の味噌独特の香りが部屋中にただよい、この時点ですでに食欲がかき立てられました。
しかしながら、雑菌が混入したのか、上蓋と側面に青カビが少々ついていました。綺麗に取り除き、木べらで丁寧にかき混ぜておきました。発酵と腐敗は表裏一体の現象、少々カビが出るくらいはあまり気になりません。
味見をしたところ、発酵度合がまだ足りず、しょっぱすぎる印象です。味噌の発酵の最適期間は地域・環境によってそれぞれだと思いますが、家で手軽にできる手前味噌だと、おおよそ10~12カ月くらいが丁度良いそうです。あと3~4カ月くらいでしょうか。
原料の大豆はその硬さゆえに内側のエネルギーの高さを感じます。
味噌汁は日本人のソウルフード!パワーが漲るので毎日食べています。
ここ長野県は信州・発酵食文化がさかえてきた地であり、長寿県とも言われています。
長寿の秘訣は何か?に迫る書籍は多く、共通している内容の一つに「発酵食を他県以上に摂取しているから」という見解があります。
健康で長寿は誰もが願っていることですし、近年ますます海外からも発酵食が注目されています。せっかく長野県に住んでいるので、今回は発酵食・味噌のリサーチ内容をベースにその魅力をご紹介したいと思います。
➀味噌はどういう種類があるのか?
1.米味噌
大豆に米麹、塩を加えてつくる味噌です。国内生産量の80%を占めます。米麹の比率が高いものは甘味噌、低いものは辛味噌と呼ばれます。
ちなみに私の仕込んでいる味噌もこの米味噌です。無農薬大豆・良質の玄米麹を原料にして作ったのですが、原料は創業100年以上のマルカワ味噌さんの通販で購入させていただきました。「土からこだわって良質の大豆を栽培し原料とする」という味噌造りへの想いに共感し2年連続で原料を求めています。
2.豆味噌
蒸し大豆を直接麹にしたものと塩を合わせて長期熟成させます。濃厚なうま味とかすかな渋味があり、主に愛知・三重・岐阜で造られています。
3.麦味噌
大豆、麦麹、塩で造るみそ。農家が自家用にしていたことから「田舎みそ」の別名もあります。バランスのとれた奥深い味わいが特徴です。
お味噌は大きく分けるとこの3種類になるかと思います。
②日本は発酵食の宝庫と良く言われるけど実際はどんな種類?
夏に高温多湿となる日本は発酵に適した気候に恵まれており、カビ・菌は水分や湿度があるところで繁殖するため、日本では発酵食文化が発達し、世界でも有数の発酵大国になったようです。
1.酵母菌(アルコール発酵を行う菌類のひとつ)
ワイン、ビール、パンなど
2.細菌(分解して作り出すものの名前がその細菌につけられることが多い。例えば納豆菌など)
キムチ、納豆、ナチュラルチーズ、ヨーグルトなど
3.カビ(発酵に使われるカビには麹菌や白カビ、青カビなどの種類がある)
かつお節、甘酒など
○みりん、焼酎・・・酵母&カビ
○果実酢・・・酵母&細菌
○味噌、日本酒、穀物酢、醤油・・・酵母&カビ&細菌
発酵食は日本独自のものではなく、パンやヨーグルトなどは海外から伝えられたものですし、他にも私たちの食生活の中に取り入れられているものもあります。
気候風土や生態系の違いによって微生物の種類も異なってくるようです。これが大きな要素となり、世界中には多種多様な発酵食品が生み出されてきました。雨が多いモンスーン気候のアジアと違いヨーロッパは乾燥した気候なので、カビを利用した発酵食品は少ないのですが、フランスの白カビを利用して作ったカマンベールチーズは有名です。ブルーチーズはロックフォルテという青カビが発酵・熟成に欠かせず、このカビがブルーチーズ独特の風味や味わいを生むそうです。
アジアだと、小魚を塩漬けにして発酵させたタイのナンプラー(漁醤)が有名です。ベトナムにはニョクマム、ラオスにはナンパ―という漁醤もあるそうです。またイタリアのアンチョビも比較的身近にある海外の発酵食かと思います。
③発酵食の持つ力について
ここが一番気になるところです。発酵食の力は大きく4つに分かれそうです。
1.腐りにくさ(=保存が良くきく)
冷蔵庫がまだない時代には、発酵食品が保存食の重要な位置を占め、優れた貯蔵方法として人々が工夫し行ってきました。
2.栄養価が高くなる
発酵という現象は微生物の働きですが、微生物は増殖をしながら、生命を次世代にバトンタッチしていくために栄養素を自ら作り出し、子孫に届けるそうです。この栄養素を発酵食と共に私たちも頂くわけで、人間の身体の中に住む微生物も喜び相乗効果で栄養価がさらに高まるのではないでしょうか。
3.味と匂いの良さ
発酵の前後では香りが全く異なります。人によって好き嫌いはあるにせよ、良質な発酵状態の香りは食欲もそそられることながら、生命も喜ぶ香りだと思います。
4.人工放射能の分解・排出を促進させる
人工放射能による被爆テストで、味噌や醤油などの発酵食を食べることによって体内の残留放射性物質の排出が高まるという結果は食や環境問題に関心が高い方の間ではよく知られています。興味深いのは味噌の摂取により、細胞自体の再生スピードも飛躍的に高まることです。
味噌のパワーは本当に高く、朝と夜に1杯ずつ豆腐の味噌汁を飲めば、現代人が1日に必要とするたんぱく質を摂取できるというデータもあります。しかも、肉や魚などの動物性たんぱく質よりも効率的に多く摂取できるそうです。
全国の味噌の生産量という点から見ると長野県がダントツであり次に愛知県、群馬県へと続きます。
1位 長野県 20,817 t
2位 愛知県 3,504 t
3位 群馬県 2,712 t
4位 北海道 2,343 t
5位 大分県 1,759 t
6位 山梨県 1,258 t
7位 広島県 973 t
8位 京都府 965 t
9位 徳島県 946 t
10位 富山県 763 t
(出典:食糧醸界新聞 2014年データ)
ちなみに九星気学では私は本命星・月命星ともに五黄土星であり、ある人からは「五黄土星は発酵がキーワードだから、発酵食が向いていますよ」と言われたこともあります。発酵食自体がとても好きなので、関わっていく中で良い流れが出来ていけばと思います。
さて、私の畑の大豆ですが、ここ数日続く大雨で葉っぱが少々下降気味ですが、順調に鞘は膨らんできています。ただ6月に直播きをした際、畝幅の最適な距離がわからず、今年は密集しすぎてしまった感があり、残念ながら一部の大豆が倒れてしまいました。来年に向けて要改善です!
戸隠での農業開始当初から、自分で作った安心・安全な無農薬大豆を使い、標高800mの冷涼地にて戸隠山からの伏流水を活用した寒仕込み味噌を作りたい!という想いで大豆を育ててきました。今年は収穫できた分だけでも良いので、自分なりのこだわりの味噌を仕込みたいと思っています。
◎参考文献
「図解でよくわかる 発酵のきほん」 舘博著 誠文堂新光社
「素材よろこぶ 調味料の便利帳」 高橋書店
「信州の発酵食」 小泉武夫・横山タカ子著 しなのき書房
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