戸隠伝統工芸品「竹細工」づくりの講座に参加しました

水谷翔(地域おこし協力隊 戸隠地区)

2016年09月06日 15:49



戸隠の竹細工
戸隠の竹細工の歴史は江戸時代初期からはじまった。慶長7年(約400年前)徳川幕府の命を受け、大久保石見が信越地方を巡視した。その際、人夫として案内を勤めた中社組の徳武利左衛門が信越後道を柏原へ通過した折、道沿いに野生繁茂する竹林を見て、戸隠から越後に供奉し、中社住民の生活資源のために自由に切り刈りすることを石見守に請願した。大久保石見守から許しを得て、戸隠の先人が伐採したことが始まりだと伝えられている。

「根曲り竹」は雪深い山中に生育し、その質は繊維が細かく、粘り強いため丈夫である。また竹の皮には抗菌作用がある。学名は「千島笹」
(引用元:「戸隠豆知識」より)

農業を本格的に行いたいという想いと共に戸隠への移住の大きな決定要因になったのもこの竹細工でした。その魅力は連続する六角形の幾何学模様。しかも天然素材を活用しているという点。

以前から幾何学模様が好きで、見ていると集中力が高まりますし(描いたり、作るとなおさらそうです)、自然界には同じようなパターンが無数にあります。有名なのはハチの巣のハニカム構造雪の結晶、人工物だとアメリカの並外れた建築家のバックミンスター・フラーのジオデジックドームや古代から続くイスラムのモスクデザインケルト模様、そして日本の毬や着物の模様

それらは構造物・創造物として美しく、機能が優れているだけではなく、人間の精神性を高め、文化を創造していく上でも大きな役割を担っているような気がしていました。

身近な例で見ればあやとり縫い物なども同じような役割を果たしていると聞いたこともあります。


ハニカム構造


日本の毬模様

興味深いのは前職で人間の細胞の形を調べたことがあったのですが、皮膚や腎臓、神経細胞など、身体のミクロなレベルでも美しい幾何学模様が無数に存在しているということです。

対象と自分との間での共振を形や色を通じて、ハッキリと体感覚で感受されることは難しい場合が多いと思いますが、非常に微細なレベルでは全て共振し合っているということも近年の研究でわかってきていました。

こうした点からも戸隠の竹細工は長い歴史を持ち、人々の生活に密着し、美しい形をつくりながら工芸品が出来上がっていくというプロセスに有形無形の魅力を感じていました。


竹細工の網目は六角形が互いに重なり合いながら連続していきます

さて、今回はこの魅力的な竹細工を戸隠の職人さん達から直にご指導いただける講座を同じ戸隠地区担当の先輩協力隊の栗原健さんが企画して下さいましたので、楽しみに参加いたしました。

竹細工を作る時は柔軟でありながらも繊維が強い「根曲り竹」を幅約1cm未満に割いた素材を使います。ちなみに良質の根曲り竹は標高1,000m以上に自生しているものだそうです。標高が低いとあまり良い素材が手に入らないと聞きました。まさに地域の気候風土の特性が反映されている工芸品なのです。



最初はシンプルに素材を重ねていきます。



順番に本数を増やし、強度と形を維持するために重なる部分のモレが無いように織り込んでいきます。これが慣れるまで結構難しい。





底面が出来たら側面に移ります。ここも感触を掴むまでかなり難しいです。



熟練の職人さんが丁寧に直接ご指導くださいました。







完成品はこちらです!



少々六角形が歪んでいたり、全体のバランスが整っていないところもありますが、丁寧に教えていただき完成することができました。

やはり自分で作ったものには愛着が湧きますし、とても楽しい時間でした。ずっと集中できましたし、指先を細かく動かし、幾何学を作っていくのは遣り甲斐を感じます。

ちなみに竹細工にはいろいろなバリエーションがあり、戸隠の生活・食事などと深く関わりあっています。


そばざるとして。戸隠の盛り付け方は「ぼっち盛り」という独特の方法。


盛りかごとして。昔はかごに藁を敷いて赤ちゃんを寝かしたそうです。営みの水準が高い!

他にも取手付のかごは野菜や果物を入れたり、花かごは身近な草花を生けて季節を感じたりと広く活躍しています。

もちろん料理として筍を頂けば絶品です!5月に食べる機会があり大変美味しかったです。



液肥にしたらどうかと思い頂いたネマガリタケの皮から成分を抽出してみました。数百倍に希釈をして野菜の葉面散布をしてみましたが、防虫効果に良さそうでした。



竹細工講座は今年度は11/1712/41/18の3回開催されるとのことですので、ご参加をご希望の方は竹細工を中心に活動されている栗原さんにお尋ねいただければと思います。

私も野菜の収穫や小物入れとして竹細工を自宅で早速愛用しています。作る楽しみ、飾る楽しみ、天然素材が生活空間にある楽しみを感じられます。

ちなみにこちらは今回作った竹細工に畑で収穫した野菜を盛り付けたワンショットです!



戸隠竹細工の参考ページ&ご指導くださった職人さん
◎井上竹細工店
◎原山竹細工店
◎戸隠観光協会
◎手仕事フォーラム

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