2017/12/12
(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/12/7にご掲載いただいたものの転載です)
戸隠地区の水谷です。師走に入って早1週間。みるみる自然の景色は移り変わっていきます。本格的な冬に移行しています。一晩で一面雪化粧に覆われる日が既に数回、夜中は氷点下になることが普通になってきました。昼夜間の寒暖の差の大きさを特に感じるこの頃です。
今年のまとめとして、1年間を振り返り戸隠の自然が与えてくれた学びを農業を中心に書いていきたいと思います。
この図は戸隠公民館さん、戸隠中学校さんで講演をさせて頂いた時、最後に使用したスライドです。農を中心を展開されていく分野を表現しました。もちろんこれだけではありませんが、私が農業に携わる中で特に感じたものです。
農業は実際大変なことが多いです。始めばかりだとなおさらで、これで生活が成り立っていくのか?と自問する回数は数え切れません。誰もが通る結構キツイ期間でもあります。でも、それ以上に縦横無尽な可能性に満ちていると感じていて、それが推進力になっています。何と言っても現場で作業している時間はもの凄く面白い。そして、農業を通じて自然と直に関わることで得る学びはプライスレスです。
「日々の食」と「技能技術」「感性直観」の項目を中心に見ていきたいと思います。
1.日々の食
「農」と「食」の関係は密接です。「私達の身体は食べたもので出来ている(You are what you eat)」という有名なフレーズがあります。本当にその通りだと思います。野菜を育てていると食の安全性への関心も自然と高まります。
栄養価が高く安心安全なものを育てて食したい、健康で元気に過ごしたい、そういう気持ちが強くなってきます。その気持ちに共感いただけるお客様に直にお届けできたらどんなに嬉しいことか。
"You are what you eat"を表現したGiuseppe Arcimboldoの絵(wikipedia)
有難いことに今年多くの方々に支えられ、それが叶いました。有機栽培で取り組んだ高原花豆と野菜を届けさせて頂きました。美味しい!といってくださった言葉は本当に嬉しく、来年への大きな励みとなります。
戸隠高原で育んだ有機栽培の高原花豆
有機野菜とエディブルフラワー(食用花)
自分たちの手で作ったお米の美味しさを今年はじめて体験できました
そして、栄養価が高く安心安心な野菜を作るためにはどうすれば良いか?
と突っ込んで考えていくと、生命力に溢れた土作りがキーポイントになってきます。
では、土作りをどのようにすれば良いか?
を考えると、「水」「光」「有機物」「微生物」「土壌構成物質群」「酸素供給量」「電位」「イオン化傾向」etc、一気にサイエンスの方面が近づいてきます。農業は本当にサイエンスと結びつきが強い分野だと実感します。why?を考え続けていくことで可能性の世界がどんどん開かれていきます。ここが面白くて仕方がありません。私にとって推進力の源泉となっています。
2.技能技術・感性直観
特に印象を残っているエピソードをご紹介させていただきます。私が最初に耕作放棄地の再生を試みた時、その隣りの圃場では専業農家でその道60年以上の80歳をこえる老夫婦がいらっしゃいました。老夫婦と言ったら失敬な!と叱られてしまいそうなくらいお元気なお二人です。気力抜群で日々取り組んでいらっしゃいます。このお年でこんなペースだったら、若い時は一体どうだったんだろうとタイムスリップして確認したいくらいのパワーと魅力に満ちていらっしゃいます。
「水谷さん、この辺りの圃場はおらたちが戦後、そうだな60年以上前に開拓をしたところなんだ。昔は全部森だった。水谷さんが今再生しようとしているところも森だったんだ。ここを仲間たちと日々開墾していった。こんな胴の大きな木なんて、伐採するのに大勢の大人で取り組んだって1週間以上かかった。そんなことを繰り返して出来た圃場なんだよ」
私はこれを聞いた時に衝撃と身震いをしました。昔教科書で北海道を開拓した人々の話しを思い出しましたが、戸隠で同じ体験をされた方から直にお聞きすると、その生々しいエピソードには驚嘆しました。と同時に、圧倒的な体験量の差に愕然としました。「昔の人たちは凄かった」と漠然とよく語られますが、凄すぎで言葉になりませんでした。こんな広大な場所を人間の手だけで開墾していったなんて信じられない、、、。
人里離れた山間部、大地には心揺さぶられるドラマがありました。
このIさんという農家は口数は少ない方ですが、実に農業のカンとコツに溢れた方でいらっしゃいます。まず、力の使い方、身体の動きが綺麗でなめらか。遠くから見ていていつも感動していました。それに天候の動きを読むカンが絶妙でした。ある日、通路を掘られていました。何をしているんですか?とお聞きすると、「もうすぐ大雨が降ると思う。水の道を作っておくんだ。そうしないとせっかくの農作物が流れてしまう。こういう風に筋道をつけておけば大丈夫」と。これは長年の作業で養われたカンに他ならず、難しい力学的な法則を知らずとも身体が覚えているということ、感動的でした。素晴らしい先生が隣りにいてくださって有難い限りでした。
農業を知るためには急がばまわれ、時間がかかっても良いから、昔の人々が行った「開墾」という動作に触れたい。開墾まで行かなくても、耕作放棄地の再生をやってみたら、学びが深まるのではという考えで取り組んだところ、当初の思惑以上にこれもまたプレイスレスな学びを得ることができました。
農業はカンやコツがものを言うのは間違いありません。サイエンスのアプローチも大事でしょうが、最後は人間の感覚が一番大事だと思います。時間がかかっても、泥臭いことをやってみたお蔭で自然界が抜群の学びの機会を与えてくれました。
これから向かっていく厳冬期。一年の振り返りと来年への計画を立てていく時期でもあります。体験し学んだことをより良く次の年に活かしていけるよう、じっくり考える時間を取りたいと思います。お読みいただき、ありがとうございました。
11月の大望峠
12月の戸隠山
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戸隠地区の水谷です。師走に入って早1週間。みるみる自然の景色は移り変わっていきます。本格的な冬に移行しています。一晩で一面雪化粧に覆われる日が既に数回、夜中は氷点下になることが普通になってきました。昼夜間の寒暖の差の大きさを特に感じるこの頃です。
今年のまとめとして、1年間を振り返り戸隠の自然が与えてくれた学びを農業を中心に書いていきたいと思います。
この図は戸隠公民館さん、戸隠中学校さんで講演をさせて頂いた時、最後に使用したスライドです。農を中心を展開されていく分野を表現しました。もちろんこれだけではありませんが、私が農業に携わる中で特に感じたものです。
農業は実際大変なことが多いです。始めばかりだとなおさらで、これで生活が成り立っていくのか?と自問する回数は数え切れません。誰もが通る結構キツイ期間でもあります。でも、それ以上に縦横無尽な可能性に満ちていると感じていて、それが推進力になっています。何と言っても現場で作業している時間はもの凄く面白い。そして、農業を通じて自然と直に関わることで得る学びはプライスレスです。
「日々の食」と「技能技術」「感性直観」の項目を中心に見ていきたいと思います。
1.日々の食
「農」と「食」の関係は密接です。「私達の身体は食べたもので出来ている(You are what you eat)」という有名なフレーズがあります。本当にその通りだと思います。野菜を育てていると食の安全性への関心も自然と高まります。
栄養価が高く安心安全なものを育てて食したい、健康で元気に過ごしたい、そういう気持ちが強くなってきます。その気持ちに共感いただけるお客様に直にお届けできたらどんなに嬉しいことか。
"You are what you eat"を表現したGiuseppe Arcimboldoの絵(wikipedia)
有難いことに今年多くの方々に支えられ、それが叶いました。有機栽培で取り組んだ高原花豆と野菜を届けさせて頂きました。美味しい!といってくださった言葉は本当に嬉しく、来年への大きな励みとなります。
戸隠高原で育んだ有機栽培の高原花豆
有機野菜とエディブルフラワー(食用花)
自分たちの手で作ったお米の美味しさを今年はじめて体験できました
そして、栄養価が高く安心安心な野菜を作るためにはどうすれば良いか?
と突っ込んで考えていくと、生命力に溢れた土作りがキーポイントになってきます。
では、土作りをどのようにすれば良いか?
を考えると、「水」「光」「有機物」「微生物」「土壌構成物質群」「酸素供給量」「電位」「イオン化傾向」etc、一気にサイエンスの方面が近づいてきます。農業は本当にサイエンスと結びつきが強い分野だと実感します。why?を考え続けていくことで可能性の世界がどんどん開かれていきます。ここが面白くて仕方がありません。私にとって推進力の源泉となっています。
2.技能技術・感性直観
特に印象を残っているエピソードをご紹介させていただきます。私が最初に耕作放棄地の再生を試みた時、その隣りの圃場では専業農家でその道60年以上の80歳をこえる老夫婦がいらっしゃいました。老夫婦と言ったら失敬な!と叱られてしまいそうなくらいお元気なお二人です。気力抜群で日々取り組んでいらっしゃいます。このお年でこんなペースだったら、若い時は一体どうだったんだろうとタイムスリップして確認したいくらいのパワーと魅力に満ちていらっしゃいます。
「水谷さん、この辺りの圃場はおらたちが戦後、そうだな60年以上前に開拓をしたところなんだ。昔は全部森だった。水谷さんが今再生しようとしているところも森だったんだ。ここを仲間たちと日々開墾していった。こんな胴の大きな木なんて、伐採するのに大勢の大人で取り組んだって1週間以上かかった。そんなことを繰り返して出来た圃場なんだよ」
私はこれを聞いた時に衝撃と身震いをしました。昔教科書で北海道を開拓した人々の話しを思い出しましたが、戸隠で同じ体験をされた方から直にお聞きすると、その生々しいエピソードには驚嘆しました。と同時に、圧倒的な体験量の差に愕然としました。「昔の人たちは凄かった」と漠然とよく語られますが、凄すぎで言葉になりませんでした。こんな広大な場所を人間の手だけで開墾していったなんて信じられない、、、。
人里離れた山間部、大地には心揺さぶられるドラマがありました。
このIさんという農家は口数は少ない方ですが、実に農業のカンとコツに溢れた方でいらっしゃいます。まず、力の使い方、身体の動きが綺麗でなめらか。遠くから見ていていつも感動していました。それに天候の動きを読むカンが絶妙でした。ある日、通路を掘られていました。何をしているんですか?とお聞きすると、「もうすぐ大雨が降ると思う。水の道を作っておくんだ。そうしないとせっかくの農作物が流れてしまう。こういう風に筋道をつけておけば大丈夫」と。これは長年の作業で養われたカンに他ならず、難しい力学的な法則を知らずとも身体が覚えているということ、感動的でした。素晴らしい先生が隣りにいてくださって有難い限りでした。
農業を知るためには急がばまわれ、時間がかかっても良いから、昔の人々が行った「開墾」という動作に触れたい。開墾まで行かなくても、耕作放棄地の再生をやってみたら、学びが深まるのではという考えで取り組んだところ、当初の思惑以上にこれもまたプレイスレスな学びを得ることができました。
農業はカンやコツがものを言うのは間違いありません。サイエンスのアプローチも大事でしょうが、最後は人間の感覚が一番大事だと思います。時間がかかっても、泥臭いことをやってみたお蔭で自然界が抜群の学びの機会を与えてくれました。
これから向かっていく厳冬期。一年の振り返りと来年への計画を立てていく時期でもあります。体験し学んだことをより良く次の年に活かしていけるよう、じっくり考える時間を取りたいと思います。お読みいただき、ありがとうございました。
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2017/09/07
(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/9/7にご掲載いただいたものの転載です)
鮮やかな猩々緋の花が咲き乱れる7月中旬の高原花豆
一つの株から2,000~4,000もの花が咲くと言われています
戸隠地区の水谷です。朝夕は冷えを感じる季節になってきました。先月、戸隠は大豪雨を受け、60以上も災害箇所に指定される大ダメージを受けました。それから数週間、普及作業が進行する中、平常のムードにようやく戻ってきました。「雨」には様々な意味があると古来から信じられています。大豪雨も大局的に見れば、浄化・転換期・生命の再構成といった意味があったのかもしれません、、、。
さて、昨年何十種類もの品目の試験栽培を試みた中で、標高1,000m前後に位置する火山灰土が主体の丘陵地帯・戸隠高原の気候環境に適合し、耕作放棄地対策の作物として最も有力候補に思えたのがメキシコ高原原産の高原花豆です。
今年、花豆栽培に特化しようと決め、昨年から優良な種豆、資材、圃場整備、有機肥料作り、花豆生態の情報収集、良品栽培のための技術の研鑽等の準備を進めてきました。この1年は花豆を軸に農業・活動を展開してきたと言えます。
今年の作付けは約1,000株、面積的には約3反(3,000㎡)で、標高約820mと850mの2つの圃場に分かれます。いずれも耕作放棄地を再生した圃場であり、栽培用のアーチ支柱を約600m、垂直支柱を約150m設置しました。成育状況の比較検討のために株間は70~120cm程度の異なった間隔をもうけ、播種時期は3週間ほどズラしていきました。花豆は密植すると花付きが悪くなり結果として莢の結実率が低下するため、アーチ支柱の両面ではなく片面にしか花豆は植えず、かなり贅沢な使用方法をしています。
そんな花豆は5月下旬に播種を行い、約95日のサイクルを経て、9月上旬、いよいよ収穫が始まりました!多くの方々からエールとご支援を頂き、ようやくここまで来れて喜びがこみ上がります。これから降霜まで(10月下旬~11月上旬頃)は収穫&乾燥作業に忙しくなりますが、ここで写真にて5月下旬から9月上旬までの花豆の生育の様子をご紹介させて頂きたいと思います。
5月下旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
播種前に発芽率向上のために種前を一昼夜浸水させます
未発芽対策のために基本は2粒で播種
6月上旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
発芽時の生命エネルギーは感動的!
7月上旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
花の開花が始まります!しかし、まだ数は少ないです
7月中旬過ぎ。見た目は今とあまり変わりありませんが、莢はまだ付いていません
生態系維持に不可欠な存在のマルハナバチがよく飛び回り始めます(7月)
白花豆の方が少し早く咲き始めます(7月中旬前)
7月下旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
若干の気温低下が影響し莢がつき始めます
適正温度等の生育環境条件は標高800m以上でないと十分に整わないようです
8月上旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
莢の肥大化が始まります
いつしか支柱は見えなくなり、花豆街道が何列も出来ていました
一定の温度環境の日が続くことで次々に新しい莢が生まれています
7月下旬よりも明らかに高確率で莢が付いていきます
無数の肥大化してぶら下がる莢を見ると感動します
9月上旬~
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
莢が茶褐色になればいよいよ収穫時期の到来です!
美しい花豆の紫色が変色しないよう乾燥作業も大切な工程です
収穫し始めの豆のサイズは小さめですが、色は綺麗に出ています
白花豆の真っ白な姿も感動的です
収穫初日、莢の状態確認のためプロ農家さんのいる近隣の圃場へ伺いました
すると縁起物と言われるガマガエルが晴天の下に現れました!
あらためて花豆の成長の様子を振り返ると、自然循環の力の大きさに感動します。こうして自然から生まれた恵みを食せることは何よりも贅沢です。それにその過程を経験出来ていることも財産に違いありません。その昔、日本に生きた先人は自然界の深邃な営みを観じて素晴らしい言葉を残しています。
"たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の めぐみえてこそ" (本居宣長)
(※たなつもの=「種のもの」の意)
"むかしまく 木の実 大木となりにけり 今まく木の実 後の大木ぞ" (二宮尊徳)
"良い人になれる大元は、食を正す大元なり" (石塚左玄)
今回の記事では時系列で高原花豆の成長の様子を見て来ましたが、現場での栽培を観察しながら、工夫してきたポイントが幾つかあります。花豆の原産国であるメキシコ高原の土壌・環境と戸隠高原の類似点、花豆の共生微生物(根粒菌)、根圏土壌への電子供給等の視点から良質な花豆栽培のために何ができるか、記事を改めてつきつめていきたいと思います。
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鮮やかな猩々緋の花が咲き乱れる7月中旬の高原花豆
一つの株から2,000~4,000もの花が咲くと言われています
戸隠地区の水谷です。朝夕は冷えを感じる季節になってきました。先月、戸隠は大豪雨を受け、60以上も災害箇所に指定される大ダメージを受けました。それから数週間、普及作業が進行する中、平常のムードにようやく戻ってきました。「雨」には様々な意味があると古来から信じられています。大豪雨も大局的に見れば、浄化・転換期・生命の再構成といった意味があったのかもしれません、、、。
さて、昨年何十種類もの品目の試験栽培を試みた中で、標高1,000m前後に位置する火山灰土が主体の丘陵地帯・戸隠高原の気候環境に適合し、耕作放棄地対策の作物として最も有力候補に思えたのがメキシコ高原原産の高原花豆です。
今年、花豆栽培に特化しようと決め、昨年から優良な種豆、資材、圃場整備、有機肥料作り、花豆生態の情報収集、良品栽培のための技術の研鑽等の準備を進めてきました。この1年は花豆を軸に農業・活動を展開してきたと言えます。
今年の作付けは約1,000株、面積的には約3反(3,000㎡)で、標高約820mと850mの2つの圃場に分かれます。いずれも耕作放棄地を再生した圃場であり、栽培用のアーチ支柱を約600m、垂直支柱を約150m設置しました。成育状況の比較検討のために株間は70~120cm程度の異なった間隔をもうけ、播種時期は3週間ほどズラしていきました。花豆は密植すると花付きが悪くなり結果として莢の結実率が低下するため、アーチ支柱の両面ではなく片面にしか花豆は植えず、かなり贅沢な使用方法をしています。
そんな花豆は5月下旬に播種を行い、約95日のサイクルを経て、9月上旬、いよいよ収穫が始まりました!多くの方々からエールとご支援を頂き、ようやくここまで来れて喜びがこみ上がります。これから降霜まで(10月下旬~11月上旬頃)は収穫&乾燥作業に忙しくなりますが、ここで写真にて5月下旬から9月上旬までの花豆の生育の様子をご紹介させて頂きたいと思います。
5月下旬~
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播種前に発芽率向上のために種前を一昼夜浸水させます
未発芽対策のために基本は2粒で播種
6月上旬~
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発芽時の生命エネルギーは感動的!
7月上旬~
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花の開花が始まります!しかし、まだ数は少ないです
7月中旬過ぎ。見た目は今とあまり変わりありませんが、莢はまだ付いていません
生態系維持に不可欠な存在のマルハナバチがよく飛び回り始めます(7月)
白花豆の方が少し早く咲き始めます(7月中旬前)
7月下旬~
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若干の気温低下が影響し莢がつき始めます
適正温度等の生育環境条件は標高800m以上でないと十分に整わないようです
8月上旬~
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莢の肥大化が始まります
いつしか支柱は見えなくなり、花豆街道が何列も出来ていました
一定の温度環境の日が続くことで次々に新しい莢が生まれています
7月下旬よりも明らかに高確率で莢が付いていきます
無数の肥大化してぶら下がる莢を見ると感動します
9月上旬~
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莢が茶褐色になればいよいよ収穫時期の到来です!
美しい花豆の紫色が変色しないよう乾燥作業も大切な工程です
収穫し始めの豆のサイズは小さめですが、色は綺麗に出ています
白花豆の真っ白な姿も感動的です
収穫初日、莢の状態確認のためプロ農家さんのいる近隣の圃場へ伺いました
すると縁起物と言われるガマガエルが晴天の下に現れました!
あらためて花豆の成長の様子を振り返ると、自然循環の力の大きさに感動します。こうして自然から生まれた恵みを食せることは何よりも贅沢です。それにその過程を経験出来ていることも財産に違いありません。その昔、日本に生きた先人は自然界の深邃な営みを観じて素晴らしい言葉を残しています。
"たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の めぐみえてこそ" (本居宣長)
(※たなつもの=「種のもの」の意)
"むかしまく 木の実 大木となりにけり 今まく木の実 後の大木ぞ" (二宮尊徳)
"良い人になれる大元は、食を正す大元なり" (石塚左玄)
今回の記事では時系列で高原花豆の成長の様子を見て来ましたが、現場での栽培を観察しながら、工夫してきたポイントが幾つかあります。花豆の原産国であるメキシコ高原の土壌・環境と戸隠高原の類似点、花豆の共生微生物(根粒菌)、根圏土壌への電子供給等の視点から良質な花豆栽培のために何ができるか、記事を改めてつきつめていきたいと思います。
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2017/08/28
(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/8/7にご掲載いただいたものの転載です)
戸隠の遠景(円内が大凡の戸隠エリア)*Google Mapを元に作成
戸隠地区の水谷です。戸隠の特徴的な丘陵地帯についてはこれまでのブログ記事にも度々書いてきましたが、地形を意識しつつ今回は「水」に焦点を当てたいと思います。豊かな伏流水や綺麗な湧水が生まれる背景には、この複雑な山並みと地形との関連を考えざるを得ません。そして、戸隠は山岳信仰が盛んです。その中でも、水神・九頭龍信仰が際立っていると感じます。
江戸時代の古い巻物に描かれた九頭龍権現
以前の記事で戸隠は3つの巨大な構造線に囲まれた大地の新陳代謝が激しいフォッサマグナ地帯であることに触れました。こうした特徴ある地形で生活する人々には、物理面と精神面の双方に有形無形に関わらず相応な影響を与えていることは間違いないと思います。
戸隠の信仰を記した古い文献を紐解けば、こうした言葉が残っています。
"ここに九頭龍権現は龍王にましませば、雲を起こし雨を降らし給ふ神力自在なり"
(「戸隠詣」善光寺別当権僧正孝寛より)
"注連(しめ)張たる小樽を負ひ、忙し気に走り行く人は、九頭龍王に願い奉り、種ヶ池の水を拝借し、雨を乞うなる由。道にて休息する時は、其処へ雨降りて、願う所に験なしとて、遠国の村は手分けをなし、途中宿々に待ち受け、手渡しに持ち返るに、必ず雨を降し給ふとぞ。"
(「戸隠山往来」より)
今なお地区に住む人々の間で信仰心が脈々と受け継がれている趣を感じることがあります。農業・生活という面からは雨乞い、戸隠スキー場は雪乞い、10月下旬は新そばのシーズンを迎えることから、自然の恵みへの感謝の意も込めて戸隠そば祭り(献納祭)など、他にも数多くの神事やお祭りが催されています。
★戸隠そば祭りの様子はこちら
戸隠を代表する観光スポットの鏡池。冒頭の写真の矢印のポイントにあり、標高は約1,250mに位置します。戸隠連峰からの伏流水が合流して湖となり、背後の雄大な山々とのコントラストは多くの人々に感動を与えています。農業に従事する私としては、何て贅沢なことだろう!と思わずにいられないのが、ミネラル分が豊富な伏流水が農業利用されていることです。
生きる環境条件は、長く住んでいると今更意識することが少なくなるのかもしれませんが、知らず知らずのうちに精神面の醸成も進み、豊かな文化・信仰を築いていくベースになると思われます。
物理面から考えれば、地表面では新鮮な水を活用して微生物が代謝活動を、地下部では鉱物や清水などが無限的に分離結合を繰り返しており、直ちに人間の感覚では感得できないにしても、生態系の循環を通じて何らかの影響を受けているはずです。
上の二つの写真は鏡池に流れ行く小川のせせらぎです。透明度は極めて高く澄み切っており、水面下の何でもない小石でも宝石のように見えます。
水は私達人間と密接に関わっています。生体の構成要素として最も多く占める物質が水ということは一般的にもよく知られていますが、その割合は性別・年齢で差はあるものの、約60%とされています。水以外は糖質、タンパク質、脂質、核酸などの有機化合物で構成されています。
おおよその生体成分について、下記の表をご覧ください。
(信州大学「ながのブランド郷土食」テキストより)
いかに水が生体の大部分を占めているかがわかります。人間の健全な身心の維持のためには良質な水の摂取や生活の中で触れる水への配慮が大切でしょうし、野菜も大部分が水であるため、圃場の水環境、潅水の如何によって品質に影響を与えるのは明らかかと思います。
そういう意味でも、大地から湧出したての水を農業利用出来ることは地域に生きる人々にとってはプライスレスであり、古くから水神・九頭龍信仰が盛んになった気運を感じることができます。
ところで、戸隠のご年配の農業者の方々から昔の農業の様子を聞く機会が度々あります。「昔はカヤや雑草、森林の落葉等を圃場に運び、牛糞と混ぜて1~2年かけて堆肥にしていたんだ。熟成させたら土中にすき込むことで肥料としてはこれで十分で、良質な野菜が収穫できた。こんな野菜を食べていれば一生健康だよ!」と。これを聞く度に、又も何て贅沢な自然循環を活かした農法なんだろう!と思わずにいられません。
今でもカヤやワラを圃場に雑草対策と自然分解による栄養供給をねらって、細かく粉砕して使用する農業者が地区に何人もいらっしゃいます。私も作業を傍で見させて頂きましたが、とても参考になります。
冬前にウッドチッパーでカヤが粉砕されている様子
粉砕されたカヤは天然由来の資源として今でも重宝されています
カヤの化学組成の詳しいデータは見たことがありませんが、おそらくワラと似た成分で構成されていると思われます。ワラは水分、炭素(C)、窒素(N)が大部分を占め、リン酸(P)、カリウム(K)も少量含まれます。カヤはワラよりも固く、分解に時間がかかりますが、昔の農法を知る70~80代の大ベテランの農業者の方々は「やっぱり堆肥にはカヤがいい」とおっしゃる方が多いのが印象的です。分解に時間が必要な分、肥効がゆっくり長く持続されるということでしょうか。
微生物の分解力をかりた知恵の技法、カヤが天然由来の肥料として活用されていたという体験談は貴重でした。茅葺屋根にも使われてきたカヤは昔から人々の生活、農業に密接に関わり、循環的な生活の一部として重要な存在であったに違いありません。当時、古くなった茅葺屋根のカヤは畑に持っていき、堆肥にしたそうです。自然に密着した生活水準の高さを物語っていたエピソードです。
さて、また水との関連について考えたいと思います。水分子は極性の強い物質であるため、塩類をよく溶かし、イオンに解離するとされています。金属イオンの中には、人間や植物の生体維持のために微量でありながら、必須のものがいくつかあります。カルシウム(Ca²⁺)、マグネシウム(Mg²⁺)、カリウム(K⁺)等はその代表格です。
カヤやワラのような中山間地の日常生活に密着してきた資材や大地の基盤、つまり土壌を構成する砂利や鉱物にも微量要素は含まれます。こうした物質と水が交われば、様々な微量要素がイオンへと解離し、溶媒の水を通じて、人や植物に取り込まれて栄養分として活用されていきます。
先に触れた通り人や植物、菌類の大部分は水で組成されています。水が微量要素を生体に届ける上でも重要な溶媒特性を持っているのは今見た通りです。微生物の活動のためにも水は必要不可欠です。生態循環を通じて水を眺めると、改めて良質な水は如何に尊い存在であるかを痛感させられます。自然界でそれぞれの性質が重畳的に関わり合っている様は驚くほかありません。
こうしたミクロの世界での営みを大昔の人達は、鋭敏な感覚で捉えていたのでしょうか。現代の感覚から当時の様子を伺うことは困難ですが、脈々と受け継がれてきた水神・九頭龍信仰の形成には、丘陵地帯から誕生する新鮮な湧水が豊富にあったという事実が何よりも影響しているのではないかと感じます。
さて、早いもので5月の定植期から約3カ月経ちました。定植間もない頃は野菜が大きく育ってくれるか心配はつきものですが、6月、7月と成長を続け、無事収穫をむかえています。寒暖の差が大きい高原で栽培される果菜類の味わいの深さは今年もしっかりと堪能させてもらっています。本当に味が濃くて美味しいですよ!野菜は良質な水の供給のお蔭もあってか、エネルギーの高さには毎日驚かされます。
昨年、自家採取をしたミニトマトの種から育てたら今年は黄色になったものも!
珍しいフィオレンティーノというトマト。こちらも種から育苗しました。
夏野菜とエディブルフラワー(食用花)を盛り付けて。
高貴な紫色に惹かれるリンドウ。戸隠でよく栽培されています。
高原花豆の花に入り一生懸命仕事をするマルハナバチ。
最後にマルハナバチについてです。7月中旬頃からでしょうか、圃場に沢山のマルハナバチが飛ぶようになりました。本当に良く働いてくれるなぁと感心。花豆は自家受粉の性質を持つとされていますが、マルハナバチが盛んに飛んでくれている方が鞘の結実率が向上するような気がしています。
蜂は生態系に欠かせない存在です。蜂が受粉を助けている農作物の多くを人間も食しています。多くの専門家が蜂がいなくなってしまうと食糧難に陥る可能性が高いと指摘しています。近年、大気中を四六時中飛び回る人工的な磁気(携帯電話の基地局の増加等)の影響や、蜂の機能を阻害する成分を含む化学物質の散布によって(農作物への消毒等)、蜂が危機に瀕していることを知る人も増えつつあるかと思います。
解決のためにはどうすれば良いか?
今年試みた一つの方法は農作物と食用花(エディブルフラワー)を混植(コンパニオンプランツ)です。確かに蜂の数が増加した気がします。蜂の生命を維持できる環境を作り出すホンのささやかな取り組みです。
目下、有機農法に取り組みつつ、出来る限り自然環境との調和した農業と生活を模索しています。
【参考文献】
・「戸隠山開山」佐藤貢
・「戸隠山九頭龍考」瑞戸信駒
・「信仰と文学の十字路をゆく」宮下健司、山下智之
・「ながのブランド郷土食」テキスト(信州大学工学部大学院)
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戸隠の遠景(円内が大凡の戸隠エリア)*Google Mapを元に作成
戸隠地区の水谷です。戸隠の特徴的な丘陵地帯についてはこれまでのブログ記事にも度々書いてきましたが、地形を意識しつつ今回は「水」に焦点を当てたいと思います。豊かな伏流水や綺麗な湧水が生まれる背景には、この複雑な山並みと地形との関連を考えざるを得ません。そして、戸隠は山岳信仰が盛んです。その中でも、水神・九頭龍信仰が際立っていると感じます。
江戸時代の古い巻物に描かれた九頭龍権現
以前の記事で戸隠は3つの巨大な構造線に囲まれた大地の新陳代謝が激しいフォッサマグナ地帯であることに触れました。こうした特徴ある地形で生活する人々には、物理面と精神面の双方に有形無形に関わらず相応な影響を与えていることは間違いないと思います。
戸隠の信仰を記した古い文献を紐解けば、こうした言葉が残っています。
"ここに九頭龍権現は龍王にましませば、雲を起こし雨を降らし給ふ神力自在なり"
(「戸隠詣」善光寺別当権僧正孝寛より)
"注連(しめ)張たる小樽を負ひ、忙し気に走り行く人は、九頭龍王に願い奉り、種ヶ池の水を拝借し、雨を乞うなる由。道にて休息する時は、其処へ雨降りて、願う所に験なしとて、遠国の村は手分けをなし、途中宿々に待ち受け、手渡しに持ち返るに、必ず雨を降し給ふとぞ。"
(「戸隠山往来」より)
今なお地区に住む人々の間で信仰心が脈々と受け継がれている趣を感じることがあります。農業・生活という面からは雨乞い、戸隠スキー場は雪乞い、10月下旬は新そばのシーズンを迎えることから、自然の恵みへの感謝の意も込めて戸隠そば祭り(献納祭)など、他にも数多くの神事やお祭りが催されています。
★戸隠そば祭りの様子はこちら
戸隠を代表する観光スポットの鏡池。冒頭の写真の矢印のポイントにあり、標高は約1,250mに位置します。戸隠連峰からの伏流水が合流して湖となり、背後の雄大な山々とのコントラストは多くの人々に感動を与えています。農業に従事する私としては、何て贅沢なことだろう!と思わずにいられないのが、ミネラル分が豊富な伏流水が農業利用されていることです。
生きる環境条件は、長く住んでいると今更意識することが少なくなるのかもしれませんが、知らず知らずのうちに精神面の醸成も進み、豊かな文化・信仰を築いていくベースになると思われます。
物理面から考えれば、地表面では新鮮な水を活用して微生物が代謝活動を、地下部では鉱物や清水などが無限的に分離結合を繰り返しており、直ちに人間の感覚では感得できないにしても、生態系の循環を通じて何らかの影響を受けているはずです。
上の二つの写真は鏡池に流れ行く小川のせせらぎです。透明度は極めて高く澄み切っており、水面下の何でもない小石でも宝石のように見えます。
水は私達人間と密接に関わっています。生体の構成要素として最も多く占める物質が水ということは一般的にもよく知られていますが、その割合は性別・年齢で差はあるものの、約60%とされています。水以外は糖質、タンパク質、脂質、核酸などの有機化合物で構成されています。
おおよその生体成分について、下記の表をご覧ください。
(信州大学「ながのブランド郷土食」テキストより)
いかに水が生体の大部分を占めているかがわかります。人間の健全な身心の維持のためには良質な水の摂取や生活の中で触れる水への配慮が大切でしょうし、野菜も大部分が水であるため、圃場の水環境、潅水の如何によって品質に影響を与えるのは明らかかと思います。
そういう意味でも、大地から湧出したての水を農業利用出来ることは地域に生きる人々にとってはプライスレスであり、古くから水神・九頭龍信仰が盛んになった気運を感じることができます。
ところで、戸隠のご年配の農業者の方々から昔の農業の様子を聞く機会が度々あります。「昔はカヤや雑草、森林の落葉等を圃場に運び、牛糞と混ぜて1~2年かけて堆肥にしていたんだ。熟成させたら土中にすき込むことで肥料としてはこれで十分で、良質な野菜が収穫できた。こんな野菜を食べていれば一生健康だよ!」と。これを聞く度に、又も何て贅沢な自然循環を活かした農法なんだろう!と思わずにいられません。
今でもカヤやワラを圃場に雑草対策と自然分解による栄養供給をねらって、細かく粉砕して使用する農業者が地区に何人もいらっしゃいます。私も作業を傍で見させて頂きましたが、とても参考になります。
冬前にウッドチッパーでカヤが粉砕されている様子
粉砕されたカヤは天然由来の資源として今でも重宝されています
カヤの化学組成の詳しいデータは見たことがありませんが、おそらくワラと似た成分で構成されていると思われます。ワラは水分、炭素(C)、窒素(N)が大部分を占め、リン酸(P)、カリウム(K)も少量含まれます。カヤはワラよりも固く、分解に時間がかかりますが、昔の農法を知る70~80代の大ベテランの農業者の方々は「やっぱり堆肥にはカヤがいい」とおっしゃる方が多いのが印象的です。分解に時間が必要な分、肥効がゆっくり長く持続されるということでしょうか。
微生物の分解力をかりた知恵の技法、カヤが天然由来の肥料として活用されていたという体験談は貴重でした。茅葺屋根にも使われてきたカヤは昔から人々の生活、農業に密接に関わり、循環的な生活の一部として重要な存在であったに違いありません。当時、古くなった茅葺屋根のカヤは畑に持っていき、堆肥にしたそうです。自然に密着した生活水準の高さを物語っていたエピソードです。
さて、また水との関連について考えたいと思います。水分子は極性の強い物質であるため、塩類をよく溶かし、イオンに解離するとされています。金属イオンの中には、人間や植物の生体維持のために微量でありながら、必須のものがいくつかあります。カルシウム(Ca²⁺)、マグネシウム(Mg²⁺)、カリウム(K⁺)等はその代表格です。
カヤやワラのような中山間地の日常生活に密着してきた資材や大地の基盤、つまり土壌を構成する砂利や鉱物にも微量要素は含まれます。こうした物質と水が交われば、様々な微量要素がイオンへと解離し、溶媒の水を通じて、人や植物に取り込まれて栄養分として活用されていきます。
先に触れた通り人や植物、菌類の大部分は水で組成されています。水が微量要素を生体に届ける上でも重要な溶媒特性を持っているのは今見た通りです。微生物の活動のためにも水は必要不可欠です。生態循環を通じて水を眺めると、改めて良質な水は如何に尊い存在であるかを痛感させられます。自然界でそれぞれの性質が重畳的に関わり合っている様は驚くほかありません。
こうしたミクロの世界での営みを大昔の人達は、鋭敏な感覚で捉えていたのでしょうか。現代の感覚から当時の様子を伺うことは困難ですが、脈々と受け継がれてきた水神・九頭龍信仰の形成には、丘陵地帯から誕生する新鮮な湧水が豊富にあったという事実が何よりも影響しているのではないかと感じます。
さて、早いもので5月の定植期から約3カ月経ちました。定植間もない頃は野菜が大きく育ってくれるか心配はつきものですが、6月、7月と成長を続け、無事収穫をむかえています。寒暖の差が大きい高原で栽培される果菜類の味わいの深さは今年もしっかりと堪能させてもらっています。本当に味が濃くて美味しいですよ!野菜は良質な水の供給のお蔭もあってか、エネルギーの高さには毎日驚かされます。
昨年、自家採取をしたミニトマトの種から育てたら今年は黄色になったものも!
珍しいフィオレンティーノというトマト。こちらも種から育苗しました。
夏野菜とエディブルフラワー(食用花)を盛り付けて。
高貴な紫色に惹かれるリンドウ。戸隠でよく栽培されています。
高原花豆の花に入り一生懸命仕事をするマルハナバチ。
最後にマルハナバチについてです。7月中旬頃からでしょうか、圃場に沢山のマルハナバチが飛ぶようになりました。本当に良く働いてくれるなぁと感心。花豆は自家受粉の性質を持つとされていますが、マルハナバチが盛んに飛んでくれている方が鞘の結実率が向上するような気がしています。
蜂は生態系に欠かせない存在です。蜂が受粉を助けている農作物の多くを人間も食しています。多くの専門家が蜂がいなくなってしまうと食糧難に陥る可能性が高いと指摘しています。近年、大気中を四六時中飛び回る人工的な磁気(携帯電話の基地局の増加等)の影響や、蜂の機能を阻害する成分を含む化学物質の散布によって(農作物への消毒等)、蜂が危機に瀕していることを知る人も増えつつあるかと思います。
解決のためにはどうすれば良いか?
今年試みた一つの方法は農作物と食用花(エディブルフラワー)を混植(コンパニオンプランツ)です。確かに蜂の数が増加した気がします。蜂の生命を維持できる環境を作り出すホンのささやかな取り組みです。
目下、有機農法に取り組みつつ、出来る限り自然環境との調和した農業と生活を模索しています。
【参考文献】
・「戸隠山開山」佐藤貢
・「戸隠山九頭龍考」瑞戸信駒
・「信仰と文学の十字路をゆく」宮下健司、山下智之
・「ながのブランド郷土食」テキスト(信州大学工学部大学院)
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2017/06/26
(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/6/8にご掲載いただいたものの転載です)
摘みたての食べれるお花・エディブルフラワーは華やかな彩りと栄養価が特徴
皆さん、こんにちは。戸隠地区の水谷です。突然ですが、エディブルフラワーをご存知でしょうか?私は今年から何種類か圃場で共同栽培をはじめ、その魅力に引き込まれています。何と言っても色鮮やかな見た目と、香り漂う繊細さと力強い味わいに驚いています。
お花を食べるというと意外に思われるかもしれませんが、ブロッコリーや最近人気のスティックセニョール、菜花などは花芽を食用にする品目として馴染がありますし、食用菊は比較的よく知られています。
スティックセニョール
ただそれ以外のお花の食用となるとまだ日本では一般的ではありません。しかし、都内のレストランや高級食材を扱うスーパー等では、たまに見かけるようになってきており、ケーキの食べられるデコレーションとしても使われるケースが増えてきてきると聞きます。また、海外のヘルシー志向の人達(ローフード等)の間ではブームになってきているようです。
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エディブルフラワーとは?
【エディブルフラワーとは「edible」=食べられる「flower」=お花、のことです】
食べれるお花、観賞用とは違い野菜と同じように、安心して食べるためにつくられたお花です。
エディブルフラワーには品種もたくさんあり様々なカラーが楽しめて、
バランス良く多くの栄養素が含まれている事がわかってきました。
世界各地、特にヨーロッパを中心にオランダなどは、日常的にエディブルフラワーを
使った料理が食べられていますハーブもその一種です。 料理方法は様々あり、
オランダの人々は見て楽しみ食べて楽しんでいます。
歴史的からみても、身近なところにエディブルフラワーがこっそりと繁栄していて、
菜の花や食用ギク、シソの花は古くから日本人に好まれて食べていました。
近年では、日本でも大手百貨店、大手スーパーマーケットにも見かけるようになりましたが、
まだまだご存知ない方が多いのが現状です。
野菜や果物と同じ様な感覚で日常の食生活に、エディブルフラワーを
食べてみて知って楽しんでいただきたいと思います。
(http://www.villagestore.jp/edibleflower/flower/より)
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農林水産省のWEBサイトにもエディブルフラワーについて触れられています。
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以下は私達の圃場で今年試験的に栽培している品目のご紹介です。
ボリジ(ルリジサ)
星型の花は数センチと小さいですが、淡い紫色から高貴な印象を受けます。キュウリのような爽やかな青々しい風味があります。16世紀のハーブ療法士が、野生のボリジは悲しみや憂鬱な気分を取り去り、人を快活にし、明るい気分にさせるという記述を残しています。
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【利用する部位】花、葉、種子
【有効成分】葉には粘漿剤だけでなく、ミネラル、サポニン、タンニンも豊富です。種子には脂肪酸の豊富なオイルが含まれ、GLA(ガンマリノレン酸)もたっぷり含まれています。
【作用】葉―鎮静作用、強壮作用 種子―ホルモン調整作用
【効能と用法】精神的ストレスによる消化不良には、生の葉と花の浸剤を1日2~3回飲めば、不安を和らげ、消化を促します。皮膚の炎症、敏感肌には、生の葉と花の浸剤を冷やせば、沈静効果のある洗浄剤となります。ホルモンバランスの乱れ、PMS、更年期障害には、オイルカプセルを指示どおり飲めば、月経周期を整え、気分のむらやのぼせを和らげます。(『ハーブ図鑑』ジェニー・ハーディングより)
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ナスタチウム
食べるとふんわりとした密のような甘い香りと味わいが口内に拡がり、最後には少しピリっとしてきます。サラダで食べると彩り豊かになり、食欲もかき立ててくれます。花だけでなく葉の栄養価も高いので重宝しています。
ナスタチウムの葉
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【利用する部位】種子(※私見ですが、花、葉、茎も食べられます)
【有効成分】脂質油、たんぱく質、揮発性油分
【作用】強力な殺菌作用、皮膚軟化作用
【効能と用法】喉の痛み、気管支炎には、つぶした種子で作った浸剤を1日2~3回飲めば、感染症を起こしている細菌を強力に殺菌します。うがい薬としても使えます。(同著より)
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カレンデュラ
この花は比較的いろんな場所で栽培されているのを目にしますが、花を食べることができると知っている人は少ないと思います。私もそうでした。カレンヂュラは花そのものを全て食べると苦いので、花びらをサラダやケーキにちらして食べる方がベターな気がします。
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【利用する部位】花
【有効成分】苦味成分、フラボノイド、粘漿剤、樹脂、揮発性油分
【作用】殺菌、収瞼、苦味、浄化、発汗、利尿、創傷治癒
【効能と用法】傷、切り傷、皮膚の炎症には、軟膏かクリームを1日2~3回塗布すれば、患部を洗浄し、皮膚の回復を促します。消化不良、肝機能低下には、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、特に脂っぽい食べ物の消化を促します。インフルエンザには、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、発汗を促すことで体を冷やし、毒素を排出させます。脚の痛み、静脈瘤には、クリームか軟膏かオイルで1日2回やさしくマッサージすれば、痛みとかゆみを和らげます。(同著より)
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ヴィオラ
ヴィオラはパンジーと見た目が似ており、少し小さめです。実はパンジーも食用可能です。花に複数の色が混ざっているので、料理に添えると栄えます。
現在花が咲いている4種類をピックアップさせて頂きましたが、引用書籍の成分等をご覧いただけばわかる通り、栄養価に優れています。エディブルフラワーとして新しい切り口で最近好まれている動向がありますが、起源を辿れば古くからハーブとして身近な存在でもあったことが伺えます。
栄養価の面で話しをさらに進めたいと思います。そのビビットな色合いにまず関心が行きますが、これはビタミンカラーとも呼ばれています。ビタミンは広く知られているように生命維持に不可欠な成分ですが、現代の食生活において摂取不足であると指摘されるケースも多いかと思います。そんな中、エディブルフラワーの役割は今後大きくなっていくのではないかと感じます。
彩りは豊富なビタミンの目印、その他の有効成分に富むことも多い
ビタミンの食品機能について、今年4月から受講している信州大学・ながのブランド郷土食のテキストをベースに簡単ではありますがまとめたいと思います。
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➀体内で合成できず食品から摂取しなければならない必須の有機化合物
②タンパク質と相互作用してタンパク質の働きを助ける
③補酵素の多くはビタミンを原料とする
④ビタミンは基本的に生命維持に必要不可欠な食品一次機能
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注目したいのは、③の補酵素の多くはビタミンを原料とするという点です。酵素はあらゆる生体機能に関与し、酵素無しに生きることはできません。生命情報の大元であるDNAの配列や損傷時の修復等にも酵素は関与しているというのは驚きです。補酵素というのは、酵素の働きを助ける補因子のうち有機化合物であるものとされています。詳しい補酵素の反応については省略しますが、ビタミン不足の結果として現れる症状について一部触れたいと思います。
ビタミン 主な欠乏症
ビタミンB1 脚気
ビタミンB2 口角炎、皮膚炎
ビタミンB6 皮膚炎、貧血
ビタミンC 壊血病
ビタミンE 神経障害
ビタミンK 骨祖しょう症、血液凝固障害
逆に過剰摂取によっても障害が発生する場合もあるので注意を要します。例えばビタミンCを多く摂りすぎると、吐き気、下痢、腹痛の症状が出るとされています。
こうしてプラス面と注意点を念頭におきつつも、やはりビタミン豊富と考えられるエディブルフラワーの食用としてのポテンシャルは大きいと思われ、今後の可能性に期待しながら栽培しています。現在、最も力を入れている高原花豆とコンパニオンプランツで何種類か試みており、今年の生育状況の観察も楽しみの一つです。
さて、肝心の料理への活用について最後に書かせていただきたいと思います。何と言っても料理は新鮮さが第一なのでサラダで食べることが多いです。葉野菜と花の香り・食感のミックスが個人的には大ヒットしており、最近はほぼ毎日美味しくいただいています。
圃場で栽培しているお花と野菜で作ったサラダです。色鮮やか&華やか!
ナスタチウム、カレンデュラ、ボリジ、スイスチャード、ナスタチウムの葉、からし菜、ルッコラ等が入っています。戸隠のように標高が高い場所で栽培された野菜は昼夜間の寒暖の差が大きいため、味わい深くなり、しかも採れたての新鮮なうちに食べるのは最高の贅沢です!日々のハードな農作業も食を整えることでエネルギッシュに乗り切れていると思います。今年はエディブルフラワーも食のラインナップに加わってくれたため、体調の爽快さを一層実感しています。
トマトパスタに乗せて頂きました
ボリジを手作りケーキに乗せて
ピザトーストへのトッピング
農と食のつながりが食材の機能性成分の理解の深まりと共により実感している度合が大きい今日この頃です。日本では古くから身心一如(禅)という言葉ありますが、自分の手で手間暇かけて栽培した野菜を食べる度にそうだそうだと納得しています。農と食の可能性はまだまだ大きく、これからも楽しみにながら色々とチャレンジしていきたいと思います。
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摘みたての食べれるお花・エディブルフラワーは華やかな彩りと栄養価が特徴
皆さん、こんにちは。戸隠地区の水谷です。突然ですが、エディブルフラワーをご存知でしょうか?私は今年から何種類か圃場で共同栽培をはじめ、その魅力に引き込まれています。何と言っても色鮮やかな見た目と、香り漂う繊細さと力強い味わいに驚いています。
お花を食べるというと意外に思われるかもしれませんが、ブロッコリーや最近人気のスティックセニョール、菜花などは花芽を食用にする品目として馴染がありますし、食用菊は比較的よく知られています。
スティックセニョール
ただそれ以外のお花の食用となるとまだ日本では一般的ではありません。しかし、都内のレストランや高級食材を扱うスーパー等では、たまに見かけるようになってきており、ケーキの食べられるデコレーションとしても使われるケースが増えてきてきると聞きます。また、海外のヘルシー志向の人達(ローフード等)の間ではブームになってきているようです。
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エディブルフラワーとは?
【エディブルフラワーとは「edible」=食べられる「flower」=お花、のことです】
食べれるお花、観賞用とは違い野菜と同じように、安心して食べるためにつくられたお花です。
エディブルフラワーには品種もたくさんあり様々なカラーが楽しめて、
バランス良く多くの栄養素が含まれている事がわかってきました。
世界各地、特にヨーロッパを中心にオランダなどは、日常的にエディブルフラワーを
使った料理が食べられていますハーブもその一種です。 料理方法は様々あり、
オランダの人々は見て楽しみ食べて楽しんでいます。
歴史的からみても、身近なところにエディブルフラワーがこっそりと繁栄していて、
菜の花や食用ギク、シソの花は古くから日本人に好まれて食べていました。
近年では、日本でも大手百貨店、大手スーパーマーケットにも見かけるようになりましたが、
まだまだご存知ない方が多いのが現状です。
野菜や果物と同じ様な感覚で日常の食生活に、エディブルフラワーを
食べてみて知って楽しんでいただきたいと思います。
(http://www.villagestore.jp/edibleflower/flower/より)
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農林水産省のWEBサイトにもエディブルフラワーについて触れられています。
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「花を食べる」なんて、あまり馴染みのないことと思われるかもしれませんが、
皆さんの食卓に登場しているカリフラワーやミョウガも、花。
西洋では食用花のことを、「エディブルフラワー」と呼び、料理の彩りや香りづけに
利用するのはもちろん、ビタミンなども豊富とあって、野菜や果物と同じ感覚で
食べられていると言います。
見るだけでなく、食べものとしての可能性もまだまだ広がりそうな、花の世界。
花たっぷりの食卓で、春の訪れを感じてみませんか?
(http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe2_01.htmlより)
皆さんの食卓に登場しているカリフラワーやミョウガも、花。
西洋では食用花のことを、「エディブルフラワー」と呼び、料理の彩りや香りづけに
利用するのはもちろん、ビタミンなども豊富とあって、野菜や果物と同じ感覚で
食べられていると言います。
見るだけでなく、食べものとしての可能性もまだまだ広がりそうな、花の世界。
花たっぷりの食卓で、春の訪れを感じてみませんか?
(http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe2_01.htmlより)
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以下は私達の圃場で今年試験的に栽培している品目のご紹介です。
ボリジ(ルリジサ)
星型の花は数センチと小さいですが、淡い紫色から高貴な印象を受けます。キュウリのような爽やかな青々しい風味があります。16世紀のハーブ療法士が、野生のボリジは悲しみや憂鬱な気分を取り去り、人を快活にし、明るい気分にさせるという記述を残しています。
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【利用する部位】花、葉、種子
【有効成分】葉には粘漿剤だけでなく、ミネラル、サポニン、タンニンも豊富です。種子には脂肪酸の豊富なオイルが含まれ、GLA(ガンマリノレン酸)もたっぷり含まれています。
【作用】葉―鎮静作用、強壮作用 種子―ホルモン調整作用
【効能と用法】精神的ストレスによる消化不良には、生の葉と花の浸剤を1日2~3回飲めば、不安を和らげ、消化を促します。皮膚の炎症、敏感肌には、生の葉と花の浸剤を冷やせば、沈静効果のある洗浄剤となります。ホルモンバランスの乱れ、PMS、更年期障害には、オイルカプセルを指示どおり飲めば、月経周期を整え、気分のむらやのぼせを和らげます。(『ハーブ図鑑』ジェニー・ハーディングより)
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ナスタチウム
食べるとふんわりとした密のような甘い香りと味わいが口内に拡がり、最後には少しピリっとしてきます。サラダで食べると彩り豊かになり、食欲もかき立ててくれます。花だけでなく葉の栄養価も高いので重宝しています。
ナスタチウムの葉
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【利用する部位】種子(※私見ですが、花、葉、茎も食べられます)
【有効成分】脂質油、たんぱく質、揮発性油分
【作用】強力な殺菌作用、皮膚軟化作用
【効能と用法】喉の痛み、気管支炎には、つぶした種子で作った浸剤を1日2~3回飲めば、感染症を起こしている細菌を強力に殺菌します。うがい薬としても使えます。(同著より)
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カレンデュラ
この花は比較的いろんな場所で栽培されているのを目にしますが、花を食べることができると知っている人は少ないと思います。私もそうでした。カレンヂュラは花そのものを全て食べると苦いので、花びらをサラダやケーキにちらして食べる方がベターな気がします。
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【利用する部位】花
【有効成分】苦味成分、フラボノイド、粘漿剤、樹脂、揮発性油分
【作用】殺菌、収瞼、苦味、浄化、発汗、利尿、創傷治癒
【効能と用法】傷、切り傷、皮膚の炎症には、軟膏かクリームを1日2~3回塗布すれば、患部を洗浄し、皮膚の回復を促します。消化不良、肝機能低下には、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、特に脂っぽい食べ物の消化を促します。インフルエンザには、生か乾燥させた花の浸剤を1日2~3回飲めば、発汗を促すことで体を冷やし、毒素を排出させます。脚の痛み、静脈瘤には、クリームか軟膏かオイルで1日2回やさしくマッサージすれば、痛みとかゆみを和らげます。(同著より)
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ヴィオラ
ヴィオラはパンジーと見た目が似ており、少し小さめです。実はパンジーも食用可能です。花に複数の色が混ざっているので、料理に添えると栄えます。
現在花が咲いている4種類をピックアップさせて頂きましたが、引用書籍の成分等をご覧いただけばわかる通り、栄養価に優れています。エディブルフラワーとして新しい切り口で最近好まれている動向がありますが、起源を辿れば古くからハーブとして身近な存在でもあったことが伺えます。
栄養価の面で話しをさらに進めたいと思います。そのビビットな色合いにまず関心が行きますが、これはビタミンカラーとも呼ばれています。ビタミンは広く知られているように生命維持に不可欠な成分ですが、現代の食生活において摂取不足であると指摘されるケースも多いかと思います。そんな中、エディブルフラワーの役割は今後大きくなっていくのではないかと感じます。
彩りは豊富なビタミンの目印、その他の有効成分に富むことも多い
ビタミンの食品機能について、今年4月から受講している信州大学・ながのブランド郷土食のテキストをベースに簡単ではありますがまとめたいと思います。
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➀体内で合成できず食品から摂取しなければならない必須の有機化合物
②タンパク質と相互作用してタンパク質の働きを助ける
③補酵素の多くはビタミンを原料とする
④ビタミンは基本的に生命維持に必要不可欠な食品一次機能
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注目したいのは、③の補酵素の多くはビタミンを原料とするという点です。酵素はあらゆる生体機能に関与し、酵素無しに生きることはできません。生命情報の大元であるDNAの配列や損傷時の修復等にも酵素は関与しているというのは驚きです。補酵素というのは、酵素の働きを助ける補因子のうち有機化合物であるものとされています。詳しい補酵素の反応については省略しますが、ビタミン不足の結果として現れる症状について一部触れたいと思います。
ビタミン 主な欠乏症
ビタミンB1 脚気
ビタミンB2 口角炎、皮膚炎
ビタミンB6 皮膚炎、貧血
ビタミンC 壊血病
ビタミンE 神経障害
ビタミンK 骨祖しょう症、血液凝固障害
逆に過剰摂取によっても障害が発生する場合もあるので注意を要します。例えばビタミンCを多く摂りすぎると、吐き気、下痢、腹痛の症状が出るとされています。
こうしてプラス面と注意点を念頭におきつつも、やはりビタミン豊富と考えられるエディブルフラワーの食用としてのポテンシャルは大きいと思われ、今後の可能性に期待しながら栽培しています。現在、最も力を入れている高原花豆とコンパニオンプランツで何種類か試みており、今年の生育状況の観察も楽しみの一つです。
さて、肝心の料理への活用について最後に書かせていただきたいと思います。何と言っても料理は新鮮さが第一なのでサラダで食べることが多いです。葉野菜と花の香り・食感のミックスが個人的には大ヒットしており、最近はほぼ毎日美味しくいただいています。
圃場で栽培しているお花と野菜で作ったサラダです。色鮮やか&華やか!
ナスタチウム、カレンデュラ、ボリジ、スイスチャード、ナスタチウムの葉、からし菜、ルッコラ等が入っています。戸隠のように標高が高い場所で栽培された野菜は昼夜間の寒暖の差が大きいため、味わい深くなり、しかも採れたての新鮮なうちに食べるのは最高の贅沢です!日々のハードな農作業も食を整えることでエネルギッシュに乗り切れていると思います。今年はエディブルフラワーも食のラインナップに加わってくれたため、体調の爽快さを一層実感しています。
トマトパスタに乗せて頂きました
ボリジを手作りケーキに乗せて
ピザトーストへのトッピング
農と食のつながりが食材の機能性成分の理解の深まりと共により実感している度合が大きい今日この頃です。日本では古くから身心一如(禅)という言葉ありますが、自分の手で手間暇かけて栽培した野菜を食べる度にそうだそうだと納得しています。農と食の可能性はまだまだ大きく、これからも楽しみにながら色々とチャレンジしていきたいと思います。
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2017/03/27
(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/3/23にご掲載いただいたものの転載です)
こんにちは、戸隠地区の水谷です。中山間地の長い冬が終わりかけています。雪は随分と解け、久しぶりに大地の姿がはっきりと見えるようになってきました。気付けば小さな緑が芽吹き、花が咲き出しています。自然は自分達の生命のリズムを決して忘れず、その営みの細やかさには感動せずにはいられません。
天然の循環を感じながら生活をしていると、時間への体感覚が明らかに変化をしてきます。様々なモノ・コト・情報に囚われなくなっていきます。それでいて活力は漲り、次々にやりたいこと、やるべきことが自然発生的に生まれ、飽きることはありません。今年の春で戸隠に移住して1年を迎える私は四季の移ろいを経験し、それによって感性・直感も磨かれた気がします。
さて、春分(3/20)が過ぎました。これからは夏至に向かって段々と昼が長くなり、夜が短くなっていきます。昔は二十四節気を意識し、農業に臨むことが当たり前だったようですが、スピードの流れが早い都市部で生活しているとこういう感覚は薄れていく気がします。
しかし、山深い環境に身をおくと、現代でもそれを感じることができます。自然を眺めれば、木々の姿、雲の流れ、空の色、大気の湿潤、太陽光の強さ・彩度、水が流れる音・勢い,,,etcの絶え間ない変化を。
3カ月前、2カ月前、1カ月前とここ1週間を比較すると、まず食欲・食べたいモノが変わってきました。それから身体全体の感覚も違います。寒くて固くなっていた身体がほぐれてきて、足腰が動きたくてウズウズしています。思考は内的に何かをまとめたり、突き詰めたりするよりも、チャレンジや動作を欲しており、考えるよりも行動をという拡がりある感覚が強まっています。
ということで今週から冬の間に行動計画を練ってきた農作業を一気開始しました!
農作業の近況報告
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1.有機肥料作り
馬糞、もみ殻、米ぬかをベースとして、水で希釈した微生物活性液を適量散布しながら、手で丁寧にかき混ぜていきます。手でかき混ぜる理由は、糠漬けや味噌仕込みのように素手で触ることで常在菌が肥料に移り働いてもらいたいからです。「家の数だけ味噌の味がある」と言われるように微生物の活動で肥料も微妙な差が出てくるのではと期待しながら行いました。
2.圃場に炭素埋設
土中への炭素質(天然資材)の埋設は低コストで出来るうえ、土壌改良と土地の電位を整え、植物を優勢生長へと導く効果が期待できる画期的な方法です。大地・大気の電位・電子と植物成長の相関関係は現代の農業ではほとんど着目されていませんが、方法自体はかなり古くからあります。実践者の間では驚くような効果が出たという報告も多く、冬の農閑期の間に実践を前提として学習を進めてきました。早速その第一歩を踏み出しました。
3.数十種類の品種の育苗開始
戸隠のような標高の高い圃場では5月中旬頃まで遅霜が降りる可能性があるとして、苗の定植はその辺りに行われることがオーソドックスです。ですがナス科の野菜は発芽適温が高く、育苗も比較的時間がかかることから今週から開始しました。1~2月に発芽実験を行い、各種野菜の積算時間や様々な温度環境に対してどういう生育状況を示すかを大まかに把握することが出来たので、その情報をベースに試みています。
極小の種子はピンセットを使って播種を行います。
昨年とても美味しかった中玉トマトの自家採取種子の新芽です。勢い抜群!
4.育苗・栽培の環境整備
育苗用のビニールハウスを設置しました。3月下旬から稼働予定です。
高原花豆栽培用のアーチ支柱が到着しました。約140本あります(直管パイプも)。目標はこの3倍程度を見込んでいます。引き続き準備・手配を進めます。
1月の発芽実験中の高原花豆。5月下旬頃からが本番、今から楽しみです!
伝統食・保存食を体感し学ぶ
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冬の間は農家にとっては英気を養う時間であると共に春からの肉体労働を元気よく乗り切っていくための活力の源「保存食・伝統食」作りや大勢集まって一緒に料理を作ったり、意見・情報交換が盛んに行われます。
その場が味噌作りやそば打ち、こんにゃく作り、やしょうま作りの会であり、実に自然の流れに沿った動作であると、ここでも感動せずにはいられませんでした。1~3月は地区の方々がお声かけ下さり、それらを体感し学ばせて頂きました。
この先、加工品製造を目標としている私にとっては古くから伝わる「食」の世界に触れることが出来たのは何よりの財産となりました。
1.味噌作り・仕込み
薪火で大豆を煮込んでいます。煮える大豆の匂いが最高でした。
塩と麹を加えて味噌玉を丁寧に手作業で作っていきます。
甕仕込みをされた大豆はこれからゆっくりと発酵していきます。
2.そば打ち
戸隠はそばが全国的に有名です。ようやくこの冬にそば打ちを体験できました。あまりにも面白いので、そば打ちを自宅でもやりたいと話していたらご近所の方が気を利かせてそば切り包丁を持ってきてくださいました。本当にありがとうございます。必要器具を順々に揃えていきたいと思います。
3.こんにゃく作り
手作りこんにゃくの味も抜群です。こんにゃくを作っている農家さんのお宅にお邪魔をして作り方を教えて頂きました。こんにゃくは体内に溜まった砂出しに有効と言われています。特に農家は土の付いたついたものを多く食べることから、古くからデトックスのために食されてきたようです。
こんにゃく芋です。これがグレー色のこんにゃくに変化していきます。
熱を加えながらかき混ぜていきます。
最後はアク抜きのために固形になったこんにゃくに熱を入れます。
4.やしょうま作り
やしょうまは長野ではスタンダードな食べ物であり、戸隠では地区によって時期の差があるようですが大凡2~3月に作られます。最近グルテンフリーの食材として話題の米粉をメインとしたヘルシーな食べ物で様々なデザインを作れる点が面白く、やしょうま作りの人気料理人もいらっしゃるそうです。
やしょうまとは:長野の郷土菓子で、米粉に砂糖・塩・熱湯を混ぜて蒸したものを練って棒状に成形したもち。輪切りにして食べる。生地にごまや青のりを混ぜたり、食紅などで着色したりするものがある。釈迦の入滅の日に行われる涅槃会(ねはんえ)の供物として作られる。◇釈迦が入滅の際にこれを食べ、弟子の邪(やしょ)に「邪、うまかった」といったという伝承から。(コトバンクより)
古くからの生活の知恵・営みに触れて学び、生命力に溢れた食べ物を頂き、春に向けて英気は十分です。エネルギーたっぷりで農業にトライしていきます!
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こんにちは、戸隠地区の水谷です。中山間地の長い冬が終わりかけています。雪は随分と解け、久しぶりに大地の姿がはっきりと見えるようになってきました。気付けば小さな緑が芽吹き、花が咲き出しています。自然は自分達の生命のリズムを決して忘れず、その営みの細やかさには感動せずにはいられません。
天然の循環を感じながら生活をしていると、時間への体感覚が明らかに変化をしてきます。様々なモノ・コト・情報に囚われなくなっていきます。それでいて活力は漲り、次々にやりたいこと、やるべきことが自然発生的に生まれ、飽きることはありません。今年の春で戸隠に移住して1年を迎える私は四季の移ろいを経験し、それによって感性・直感も磨かれた気がします。
さて、春分(3/20)が過ぎました。これからは夏至に向かって段々と昼が長くなり、夜が短くなっていきます。昔は二十四節気を意識し、農業に臨むことが当たり前だったようですが、スピードの流れが早い都市部で生活しているとこういう感覚は薄れていく気がします。
しかし、山深い環境に身をおくと、現代でもそれを感じることができます。自然を眺めれば、木々の姿、雲の流れ、空の色、大気の湿潤、太陽光の強さ・彩度、水が流れる音・勢い,,,etcの絶え間ない変化を。
3カ月前、2カ月前、1カ月前とここ1週間を比較すると、まず食欲・食べたいモノが変わってきました。それから身体全体の感覚も違います。寒くて固くなっていた身体がほぐれてきて、足腰が動きたくてウズウズしています。思考は内的に何かをまとめたり、突き詰めたりするよりも、チャレンジや動作を欲しており、考えるよりも行動をという拡がりある感覚が強まっています。
ということで今週から冬の間に行動計画を練ってきた農作業を一気開始しました!
農作業の近況報告
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1.有機肥料作り
馬糞、もみ殻、米ぬかをベースとして、水で希釈した微生物活性液を適量散布しながら、手で丁寧にかき混ぜていきます。手でかき混ぜる理由は、糠漬けや味噌仕込みのように素手で触ることで常在菌が肥料に移り働いてもらいたいからです。「家の数だけ味噌の味がある」と言われるように微生物の活動で肥料も微妙な差が出てくるのではと期待しながら行いました。
2.圃場に炭素埋設
土中への炭素質(天然資材)の埋設は低コストで出来るうえ、土壌改良と土地の電位を整え、植物を優勢生長へと導く効果が期待できる画期的な方法です。大地・大気の電位・電子と植物成長の相関関係は現代の農業ではほとんど着目されていませんが、方法自体はかなり古くからあります。実践者の間では驚くような効果が出たという報告も多く、冬の農閑期の間に実践を前提として学習を進めてきました。早速その第一歩を踏み出しました。
3.数十種類の品種の育苗開始
戸隠のような標高の高い圃場では5月中旬頃まで遅霜が降りる可能性があるとして、苗の定植はその辺りに行われることがオーソドックスです。ですがナス科の野菜は発芽適温が高く、育苗も比較的時間がかかることから今週から開始しました。1~2月に発芽実験を行い、各種野菜の積算時間や様々な温度環境に対してどういう生育状況を示すかを大まかに把握することが出来たので、その情報をベースに試みています。
極小の種子はピンセットを使って播種を行います。
昨年とても美味しかった中玉トマトの自家採取種子の新芽です。勢い抜群!
4.育苗・栽培の環境整備
育苗用のビニールハウスを設置しました。3月下旬から稼働予定です。
高原花豆栽培用のアーチ支柱が到着しました。約140本あります(直管パイプも)。目標はこの3倍程度を見込んでいます。引き続き準備・手配を進めます。
1月の発芽実験中の高原花豆。5月下旬頃からが本番、今から楽しみです!
伝統食・保存食を体感し学ぶ
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冬の間は農家にとっては英気を養う時間であると共に春からの肉体労働を元気よく乗り切っていくための活力の源「保存食・伝統食」作りや大勢集まって一緒に料理を作ったり、意見・情報交換が盛んに行われます。
その場が味噌作りやそば打ち、こんにゃく作り、やしょうま作りの会であり、実に自然の流れに沿った動作であると、ここでも感動せずにはいられませんでした。1~3月は地区の方々がお声かけ下さり、それらを体感し学ばせて頂きました。
この先、加工品製造を目標としている私にとっては古くから伝わる「食」の世界に触れることが出来たのは何よりの財産となりました。
1.味噌作り・仕込み
薪火で大豆を煮込んでいます。煮える大豆の匂いが最高でした。
塩と麹を加えて味噌玉を丁寧に手作業で作っていきます。
甕仕込みをされた大豆はこれからゆっくりと発酵していきます。
2.そば打ち
戸隠はそばが全国的に有名です。ようやくこの冬にそば打ちを体験できました。あまりにも面白いので、そば打ちを自宅でもやりたいと話していたらご近所の方が気を利かせてそば切り包丁を持ってきてくださいました。本当にありがとうございます。必要器具を順々に揃えていきたいと思います。
3.こんにゃく作り
手作りこんにゃくの味も抜群です。こんにゃくを作っている農家さんのお宅にお邪魔をして作り方を教えて頂きました。こんにゃくは体内に溜まった砂出しに有効と言われています。特に農家は土の付いたついたものを多く食べることから、古くからデトックスのために食されてきたようです。
こんにゃく芋です。これがグレー色のこんにゃくに変化していきます。
熱を加えながらかき混ぜていきます。
最後はアク抜きのために固形になったこんにゃくに熱を入れます。
4.やしょうま作り
やしょうまは長野ではスタンダードな食べ物であり、戸隠では地区によって時期の差があるようですが大凡2~3月に作られます。最近グルテンフリーの食材として話題の米粉をメインとしたヘルシーな食べ物で様々なデザインを作れる点が面白く、やしょうま作りの人気料理人もいらっしゃるそうです。
やしょうまとは:長野の郷土菓子で、米粉に砂糖・塩・熱湯を混ぜて蒸したものを練って棒状に成形したもち。輪切りにして食べる。生地にごまや青のりを混ぜたり、食紅などで着色したりするものがある。釈迦の入滅の日に行われる涅槃会(ねはんえ)の供物として作られる。◇釈迦が入滅の際にこれを食べ、弟子の邪(やしょ)に「邪、うまかった」といったという伝承から。(コトバンクより)
古くからの生活の知恵・営みに触れて学び、生命力に溢れた食べ物を頂き、春に向けて英気は十分です。エネルギーたっぷりで農業にトライしていきます!
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