(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2016/12/17にご掲載いただいたものの転載です)

戸隠地区の水谷です。あっという間に12月も折り返し地点を過ぎました。中山間地の師走は忙しいです。今月は来年に向けて耕作放棄地の整地・再生に加えて、地区行事、農業者の集まり、忘年会など、沢山のスケジュールが入ってきています。

そして、そのどれもが大切です。人が少なくなっている地域環境であるからこそ、より一層団結力や繋がりが重要になってきます。公民館や集会所で農作業の進捗やご近所の様子をお互いの顔を見て、小料理を持ち寄ってワイワイ楽しく話しながら情報交換をする、私もようやくそのペースに身体が馴染んできた感があります。「田舎は一度入ると家族のような親密なお付き合い」とよく言いますが、本当にその通りだと思います。

地の方々と移住者は文化・習慣・仕事の進め方・価値観など、異なる部分が多々あると思います。実際、私もそうでした。どんなことも刺激的&新鮮で楽しいのですが、戸惑いが無かったかといえば、そうではありません。特に人との関係作りと仕事の進め方という点では驚くことも多々ありました。しかし、様々な行事やイベントに積極的に参加するうちに、独特のリズムや間(ま)、会話の展開・流れに慣れてきて、移住間もない頃に比べて弾力が出てきたように思います。自然豊かな環境と同様に人付き合いもシンプルに見えて多様、そして深い、中山間地の魅力をまた一つ発見できました。

今月のブログテーマは「今年のまとめ」です。私は今年7月から協力隊としての活動が始まりましたので、この半年を写真と共に振り返りたいと思います。


畑に鎮座した御柱。移住先の地区で今年7年に1度の御柱祭りが開催されました

御柱祭り(2016.5.4)
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御柱祭りは長野県の指定無形民俗文化財であり、特に諏訪地方で有名ですが、ここ戸隠でも古くから行われています。山中から御柱として大木を切り出し、社殿に立てて神木とする非常に活気・勢いのあるお祭りです。上の写真は切り出されて綺麗な姿になった御柱です。運ばれる前に畑に鎮座している様子ですが、実は私はこの畑で現在農業をさせていただいています。

移住前、準備などで入居先の集落を行き来しており、御柱が鎮座する畑の様子を見て「何て縁起が良いことだろう!」と思っていました。思い返せば、戸隠での生活・活動の原点の一つが御柱祭りでした。ミハシラを立てるという事はとても尊い行為だと思います。職場も家庭も地域も柱となる中心存在がなければ上手く行きません。地域が一丸となってその中心を立てるということは本当に尊いことであり、そのお祭りを体感できたのは財産でした。

御柱のエネルギーを受けた畑とは来年以降も大切に関わり、農作業を進めていきたいと思っています。


神主さんの先導により地区の皆さんが御柱にお祈りを捧げました


宮前神社に御柱が立った感動の瞬間。歓声が上がりました!

★御柱祭りの詳しい様子はリンク先のページにまとめています

春~夏:新芽・新緑・緑のエネルギーが最高潮
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ワラビが冬の沈黙を破り新芽を出したところ


春の奥社参道。巨大な杉並木が生命エネルギーを周囲に放出しています


戸隠山の伏流水によって元気に育つミズバショウ(奥社参道の脇道)


栃原地区―宝光社地区を結ぶ山道から戸隠山を望んで。人工物一切無し


夏はそば畑が一面に拡がります。海外の観光客もこのシーズンは多いです


夏の終わり。戸隠地大根が発芽。御柱のエネルギーを吸ってくれたかな?

:幻想的かつ鮮やかな色彩広がる集落の景色
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霧立ち込める初秋の戸隠。毎朝通勤路で見かけた神々しい光景


荒倉山の巨石に生える木々の紅葉。ホタテ貝の化石が出土することでも有名


イッポンカンコ。多様な木々に多様な菌が生き、きのこも豊富です

初めて迎える冬:凛然とした空気感が結構心地よい
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真っ白になった北アルプス。戸隠豊岡地区から撮影


雪を被った早朝のナンテン。赤と白のコントラストが美しい


落葉の林に雪降る西条地区。民家も少なく昔からの原風景の印象

半年の間に農業で取り組んできたこと
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私は農業分野での活動がメインのため、農業を中心にまとめます。

1.野菜のテスト栽培を50種以上試み、来年に向けて栽培品種の目途を立てる
2.長野県内外の先進農業者、団体の視察にうかがう
3.高原花豆を中心とした栽培を目指し(来年)、準備を進める
4.豆類、有機野菜を中心とした販路の拡大を目指す
5.気候環境に適合した種を得るために自家採取を積極的に行う
6.耕作放棄地の整地・再生(除草、抜根、除石)&土作りを目指す
7.有機栽培のための知識の学習&土地の方々から教わる
8.自然資源を活用した堆肥作りを行う
9.農業派生事業、関係機関、協力者の繋がりを拡げる
10.土壌分析を専門企業に依頼する(土壌成分の理解→土作りに応用)
11.植物の電気活動に主眼を置いた植物波農法の学習を進める
(※1~11の太字箇所はリンク先のページがあります)

農業以外にも戸隠での文化行事や東京への出張業務など、沢山の学びある出来事・仕事を経験できる機会に恵まれました。農業は冬は休閑期とされていますが、春先からの作業のことを考えると、堆肥作りや育苗環境の整備など、冬だからといって意外とゆっくりしていることが出来ず、次から次へとやることが出てきています。

とはいえ、年末年始は少しだけゆっくりすることが出来そうですので、その間に半年での学びを振り返ってまとめ、来年に備えていきたいと思っています。

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古い農機具類。回転力など自然界の理に適った使い方には驚きます(小田切在住の方の倉庫にて)

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【ムラの景観】家・集落・神社・堂・石仏・―田・畑・畔(あぜ)・道・沢・川・池・草地・茅場・―雑木・立木―丘・山

○「江戸時代のムラは〔板木の音が聞こえる範囲がムラ〕」
○「ムラには生産と生活が共にあり、その喜びを共有するムラ人がいて、その隣りに神と仏がいて、
  日々の生活を支えている」
「人間存在の基本は食で、その食を生み出すのが農業」
「小さな種に詰まっている恵みを土、水、太陽との共同作業で取り出すのが農業の神髄」
「農業は〔手をくれる〕〔手を入れる〕〔手入れする〕〔手間ひまかけ〕て、自然とかかわって
  いく。自然は人間の手が加わると温かくなる」

「農民は総合職人、農家は総合博物館」

(引用:信州大学プロゼミ 中山間地域の未来学Ⅲ 第9、10回(12/3開催) 宮下健司講師レジュメより一部抜粋)
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10月から受講してきた信州大学主催のプロフェッショナルゼミも折り返し地点を過ぎました。上記は講座で使用されたレジュメからの抜粋です。農業の意義が温かみをもってまとめられており、数々の心に響いた言葉をご紹介させていただきました。

今年は戸隠近隣の小田切地区が開催場所となっており、毎回地区内の異なった集落にスポットが当てられています。これが面白いことに集落がひとつ違うと昔からの伝えられる生活の知恵・技法も少々異なる部分があり、こんな近隣でも差があるんだ!と驚きます。


(長野市文化財団データベースより)

そう考えると、例えば戸隠と鬼無里のおやきの味が異なっていたことを思い出しました。私の住む戸隠の集落の方に以前おやき作りを教わったのですが、その時に「私達戸隠に住む人たちが作るおやきのやり方と具材も鬼無里とはちょっと違うのよ」と聞きました。その後、おやきの食べ比べをしましたが確かに違いがありました。両方美味しいのですが微妙に違う、どうしてそうなるのかなとその時は不思議に思いました。


今年の夏に作った信州伝統食のおやき。昔から保存食としても重宝されています。

現代的な感覚からすると近隣の集落や地区へは車で数分~10分程度で行けるので、生活技法や食事の味・作り方にそんなに差が出ないように感じますが、実際に中山間地に住み始めると、何となくそうなる理由がわかってきました。

この辺りは丘陵地帯であり、アップダウンがかなり激しい地形です。そのため、今でこそトンネルがあけられ、道路も整備されていて移動は簡単ですが、昔は隣の集落にいくにも一山を歩いて越えてという感じだったと思います。ましてや戸隠から鬼無里までの移動なら、場所によっては1日以上かかることもあったと思います。

そう考えると、いつでも手軽に情報共有できる訳ではなく、料理や生活技法は口伝のような形で代々大切に受け継がれてきたでしょうし、何度も繰り返す動作には作り手・担い手の個性やクセが少しずつ出てきて差が出来ていったのではないかと思われました。それが微妙な文化・伝統の内容と継承形態の違いにもなったのではないか、そう感じます。もしそうだとしたら面白いことですよね。


こんな丘陵地帯を昔は歩いて山越え谷越えだったので肉体の強靭さに驚きます!(大望峠:夏)

今回の講座では前半は藁(わら)を使ってのしめ縄づくりの体験をしました。生まれて初めての手作業でのしめ縄づくりはとても楽しかったです!そして、しめ縄の螺旋構造に包蔵されていると思われる意味の深さにもびっくりしました。


集落の住人の方が実際に手作業で見本を見せてくださいます。単純そうで最初はなかなか難しい。




上手に藁(わら)回転させて作っていくと簡単には解けてこないところがすごい。

しめ縄は「右回転」「左回転」をミックスさせて作っていくのですが、その理由が気になり、講座後の忘年会でA教授にご質問させて頂いたところ、何とも納得のいく明快なご回答を得ました。

「人間の靭帯や筋肉組織は右回転と左回転が交互に重なっています。それによって伸縮・前後・左右への運動機能の幅が広がり、何と言ってもヘリックス(螺旋)構造は強度を増します。人間の遺伝子や細胞の構造も螺旋は基本パターンなので、それを人は何となく感じて、しめ縄づくりの動作一つをとっても無意識に行ってきたのかもしれませんね」

ということでした。なるほど!と実に含蓄に富んだご見解でした。

しめ縄づくりと共に回転力を応用した昔ながらの火おこしキットも体験できました。昔小さい頃、田舎に行った時にやった経験を思い出しました。それにしてもこんな単純な構造であるものの、自然界のエネルギーの理を活かして火をおこせることにも改めて感動です。





後半はフィールドワーク、集落内を先生の解説と共にめぐり、古くからの農家の生活の工夫や習俗、信仰などについて学びました。


茅葺屋根は自然素材の特性を生かして多層構造になっているそうです。


これはタヌキの糞の残骸だそうです。小さい柿の種は消化されずに残っています。


馬頭観音の古い石碑。軍馬として徴兵された馬を称えた跡とのこと。

馬頭観音の石碑は昔農業は栄えた場所によく置いてあると以前聞いたことがありましたが、その経緯までは知りませんでした。かつては家屋内に馬が住み、人々と一緒に暮らし、農業を協同していたと聞きますが、そんな家族同然の馬が徴兵されて戦争にいく際、敬意といつまでも存在を忘れない気持ちを留めておきたく石碑にして置いた、と。何とも形容しがたい心境になります。


土蔵の上部に流体で描かれた「龍」の文字。集落では結構どこでも目にします。

日本は古来から龍神信仰が盛んな国ですが、龍神とは水神でもあります。土蔵は日用品から食料が貯蔵された貴重な空間、そこに火の気がないようにという想い込めて昔から土蔵にはよく「龍」の文字が書かれたそうです。


この木の柵のような器具は豆類の脱穀の際に使用するのだそうです。

最後は今回のメイン講師であった宮下健司先生の講話でした。ムラ―ノラ―ヤマの違いとそこに住む人々の営み・文化、そして農業のお話し、熱意と共に語られた数々の知恵の結晶は受講生全員の心に響いたことと思います。最後に先生の言葉とレジュメから。

・「形あるものはいつしか姿を変えるが、人の営みは文化としていつまでも残る」
・「ムラや農家のモノが伝えてきた意味を後世に残し、伝えていくこと」
・「ムラの存在・意味を考えることは、心の豊かさ物語の豊かさへつなげていく取り組み」
・「古きを護るも開発なり(柳宗悦)」


★信州大学プロフェッショナルゼミ 中山間地域の未来学Ⅲ WEBサイト

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12月上旬、戸隠に住む生き物たちの冬支度が随分整った感があります。





木々は葉を落とし降雪に耐えれるよう身軽になってきています。落葉は乾燥した冬の気候の中、葉からの水分蒸発を防ぐ役割もあるそうです。人間も同じく変化しています。暖を取るための用意、食料の貯蔵、大量の薪、冬用タイヤへの交換、除雪機、畑の支柱の撤去など、ここ1カ月くらい特に地元の方々は自然変化に敏感になって準備・移行をしています。

厳冬まであとちょっと。「戸隠の冬は厳しいよ~!」と移住間もない頃、周囲の方々から何度も言われましたが、いよいよその時期が目前に迫っています。私は冬の気候に身体を適合させていこうと思い、寒さが増してきたここ1カ月くらいは家に帰ると裸足になり、農作業時も長靴の中は素足で取り組んでいました。慣れてきたら逆にその方が身体の芯から温まってくる感触があり、衣服も必要以上に着こまないようにしています。

食べ物はと言うと陽性エネルギーを高めるため、玄米分搗米(ぶづきまい)ではなくそのままの状態で圧力鍋で炊いたものを食べています。他にはネギ生姜大根といった辛味のあるもので身体のエネルギーを巡らせて内部から温めるよう心掛けています。青色の濃いミネラルたっぷりの冬の葉物野菜であるタアサイなどもよく食べるようにしています。


ご近所の農家さんから頂いた葱が大活躍しています!


葱とピンクペッパーの炊き込みご飯。じんわりと温まります


陽性エネルギーを高めるために玉ねぎと梅干しをとろ火で一緒に煮ました

11月もスケジュールが多く、結構慌ただしくしていましたので昨日はお休みを取り戸隠内をドライブしました。その様子を写真でご紹介します。


戸隠豊岡地区から北アルプスを望む。もう北アルプスは真っ白です!


戸隠神社中社の御神木


同じく中社境内の小滝。凛然とした空気が漂います


クマザサ


積雪に備えて枝葉が広がる小さい木々に施された雪除けの工夫


鏡池と戸隠山。鏡池は昼間でもうっすらと氷が張っています


黒姫山(標高:2,053mで戸隠連峰の東に位置します)


妙高山(標高:2,454mの成層火山。日本百名山)



長野北部では今の時期、道路の脇にこういうポールが数十メートルの間隔おきに建てられています。積雪量が多くなると道路や建造物との境が分からなくなるのを防止するためです。

厳冬の足音がすぐそこまで聞こえてきています。

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プロフィール
水谷翔(地域おこし協力隊 戸隠地区)
水谷翔(地域おこし協力隊 戸隠地区)
三重県桑名市生まれ。
2016年5月、長野北部・戸隠に移住し農業に取り組んでいます。
戸隠は3つの巨大な活断層に囲まれたフォッサマグナ地帯であり、火山灰土+海底隆起の肥沃な土壌が魅力的です。
無農薬・有機栽培・標高850m。
高原花豆・果菜類に力を入れています。

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