(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2018/4/20にご掲載いただいたものの転載です)



迫力の戸隠山を一望し、流れる雲、澄み渡る空気、小川の流れが聞こえる自然豊かな環境の中で存分にエネルギーチャージをしていただきたい、そのための最適な方法は何か?

その答えの一つとして、農家民泊は素晴らしい取り組みだと思います。

私が戸隠に移住し、もうすぐ2年となります。移住早々に農家民泊と農業体験事業のことを知り、「水谷さんもチャレンジしてみては?」とご紹介を頂いた経緯で、これまでに斡旋団体様から20回ほど受入れをさせて頂いてきました。

小学生、中学生、短大生と年齢層は様々ですが、土に触れ、採れたての野菜を食し、風光明媚な山々の姿を見て、感動してくれました。都会育ちの子供や学生さん達から現場で自然と出てくる言葉の数々には、むしろこちらが勉強と刺激になることが多く、戸隠の自然のポテンシャルの大きさへの認識を強めました。

その様子をFacebookやブログなどのSNSで綴っていたのですが、予想以上に都市部で仕事・生活する友人・知人から、「農家民泊に行ってみたい!」「興味がある!」と嬉しいリクエストを頂き始めました。

・私達の世代、30代前半の人たちは今、何を感じ、生きているのか?
・何に遣り甲斐を見出し、どういう目標を持って過ごしているのか?
・「働き方、生き方への再考、日本人の原点は何か?」をテーマにした書籍や講演が数多く存在しているが、その源流は一体何だろうか?
・人は時として自然に原点回帰を求める衝動を持つが、自然が持っている力の正体とは一体何か?
・自然の持つ何が人に感動を与え、気づきをもたらしてくれるのか?


大企業や商社に入り世界中を股にかけて活躍している友人がいます。20代で起業して、相当な苦労と壁を乗り越え、可能性の幅を拡げ、大きなプロジェクトに奮闘する先輩がいます。小さな会社・組織でも誇りを持って仕事に取り組む学生時代からの仲間がいます。芸術、音楽の世界で開花した後輩がいます。子供を授かり、幸せそうな近況を知らせてくれる家族がいます。家族を持ち、支えるために毎日夜遅くまで働く知人は数え切れません。円熟な年齢をむかえ、奉仕活動に精を出す尊敬すべき人がいます。働くことを指導し、育ててくれた忘れられない上司の方々がいます。

それぞれの分野・フィールドで活動する人達が尽くせる限りのエネルギーを持って取り組む姿から私も刺激をもらいつつ、戸隠に来た原点を忘れてはいけない、移住した自分に出来ることは何か、どういう価値を生み出していけば、さらに面白くなって行くのか、移住後、毎日問答を繰り返してきました。

それが、農家民泊という仕組みで集約されてきている感触を最近持っています。

"時に言葉で語り尽くすことが難しくも、一瞬にして人に感動・驚き・気づきを与えてくれる自然界の力をお借りさせて頂こうと思う。訪れる方々の憩いの場、エネルギーチャージのきっかけ、新たな発見に満ちた場所を目指したい"

昨年末から許可申請のために動きはじめ、先日一般向けの農家民泊の営業許可を取得いたしました。正式な営業は6月15日から可能となります。私の嫁さんが積極的に動いてくれたお蔭で長野で電子申請による第一号となることが出来ました。感謝。



高原花豆栽培によって戸隠での農業と自然のポテンシャルを存分に実感し、その感動をさらに多くの方々とシェアさせて頂きたいーその手段の一つとしての農家民泊、魅力的な価値・サービスをご提供させて頂けますよう準備を進めてまいりたいと思います。

今後もどうぞ宜しくお願いいたします。

★自然写真は4月上旬の戸隠です













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(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2018/1/10にご掲載いただいたものの転載です)

新しい年が明けて早10日、昨年は戸隠の地元の方々をはじめ、農業を応援して下さった方々、サポートの方々、本当に多くの方のご支援のもと、活動を進めることができました。誠にありがとうございます。本年も精一杯取り組んで参ります。

さて、今年の農業はブラッシュアップの1年と考え、特に微生物の世界の探求を目指します。冬の農閑期は次年度に向けて英気を養い、振り返り、計画を立てる大切な時間です。圃場で取り組みたい具体的なアイデアも練っていきます。

長野北信の有機農家の大先輩と南信で取り組む同世代の尊敬する友人から推薦してもらった書籍「土と内臓―微生物がつくる世界」。半分ほど読んだところですが、もの凄く面白く、止まりません。


デイビッド・モンゴメリー+アン・ビクレー著 片岡夏実訳 築地書館

微生物というと馴染みが薄いという人も多いことかと思いますが、私達がメインで取り組む高原花豆は成長に不可欠な元素である窒素を微生物が大気中から供給してくれるお蔭で生育が促されます(根粒菌の窒素固定)。昨年、厳密な検査・分析までは出来ないにしても、視覚で確認できるほどの菌叢が無数に誕生していました。


中央上部が花豆の茎。周囲の地表面のつぶつぶが微生物(根粒菌)の菌叢です。


掘り返した根にも根粒菌の菌叢が沢山ついています。花豆はマメ科です。

同じようにトマト、ピーマン、ナス等の果菜類、ダイコン、ニンジン、ゴボウ等の根菜類、チンゲン菜、ホウレン草等の葉野菜も全て微生物が成長促進に一躍を担っています。


トマトの根にも根粒菌の菌叢が見られました。


同じくナス科のピーマンにも菌叢が見られました。

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微生物は地球上でもっとも数が多く、もっとも広く分布し、もっとも繁栄している生物だ。骨が化石記録として残っている生物種の99%は、時の試練に耐えられず絶滅している。ところが微生物は、生命が誕生したときから、36億年以上生き残っている。その短い寿命を考えれば、ざっと計算して800兆世代を経ている。

地球上には10の30乗個の微生物がいると推定される。100穣個だ。1のあとにゼロが30個ー1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000ーつく。1個1個の微生物じゃ小さすぎて見えないが、全部1つながりにすると1億光年の長さになる。夜空に見えるもっとも遠くの星までの距離を超えている。地球上の微生物は、既知の宇宙にある星の数より100万倍以上多い。一握りのよく肥えた土の中には、アフリカ、中国、インドに住む人間の合計より多くの細菌がいる。そして全体で、微生物は地球上に棲む生物の重さの半分を占めると推定される。

重要なのは、微生物が生命維持に必要なアミノ酸を作るのに欠かせない大気中の窒素を捕えていることだ。それが土壌を肥沃に保つ自然のメカニズム、地球の窒素循環を動かしているのだ。岩石に含まれる窒素の濃度には、花崗岩のようにほんのわずかなものからある種の堆積岩のように生物が利用できるレベルまで大きな幅がある。地質年代を通じて、有機物中のほとんどすべての窒素ー単純なタンパク質から、われわれすべてを支配する分子DNAまでーは微生物を介して生物圏に入った。

人間は岩を食べることができないが、私たちの身体は岩に由来する栄養素でできている。岩を分解して成分を抽出し、生物的循環に乗せる上で、微生物は重要な役割を果たす。また、動物は、昆虫のほとんどすべてを含め、きわめて安定して分解しにくい分子であるセルロースでできた植物質を、実は消化できない。セルロースはこの世界で一番手に入りやすい食物源(そしてエネルギー源)だが、それを分解するという困難な作業を、動物は腸内に棲む微生物に代わりにやってもらっているのだ。(本書より)


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本書で強調されているのは、微生物の働きと共に土壌肥沃度についてです。「土にどれほど生命を育む力があるのか」ということです。肥沃度に富んだ土は病害虫の発生がほとんどなく、肥料も有機物を定期的に加えることで、良質な野菜収穫ができると指摘します。

これは私のような駆け出しの有機農法に取り組む人間でも、ずっと圃場で観察を続けていると体感的にわかってくる感覚でもあります。

「生命力に溢れた土とは何か?」

圃場でいつも考えているテーマです。

「生命力に溢れた土≒土壌肥沃度⇔微生物が積極活動できる環境」

微細領域まで定量的に分析をしようと思うと非常に難しく時間もお金もかかりますが、シンプルに考えれば案外回答を素直に導けそうな気がします。

微生物の世界を私達人間が生きている生活環境と相似的に考えれば良いのではないかと念頭に置いています。

「人はどうしたら生き生き溌剌と健康に過ごせるか?」

まずは食べ物であるに違いありません。それに住環境、温度、湿度、服装、飲み水、空気、運動、人間関係、家族、仕事、よく笑う、よく眠る、精神面etc,,,まだまだ沢山の要素がありますが、それらを振り返ることにヒントが沢山ある気がします。

人間にとってこの感触が良いな、心地良いなと思うことを、出来る限り微生物ならどうかと想像をして取り組んでみる、そういうアプローチも面白いのではと思います。

すると、

・有機堆肥作りのための最適な天然資材は何か?
・嫌気性か、好気性か、どちらで発酵を進めればよいか?
・有機肥料、液肥などの散布のタイミングは?
・種子の播種時期、苗の定植時期、生育中は何をすれば良いか?
・土は今何を欲しがっているのか?

といった現場感覚が自然と磨かれていっている気がして、こういう感触は感動的でもあります。



自然界が相手の農業はサイエンスに頼りすぎると、あれもこれもあまりにも複雑に見えすぎて、すぐにアクションが出来なくなってしまいますが、感覚・直観に従うスタンスを忘れなければ打ち手がワクワク感と共にドンドン湧いてきます。

逆に感覚頼りすぎると再現性に乏しく、相手に順序立てて説明できないのでやはりサイエンス、エビデンスの面から定量的なアプローチも大切かと感じます。

微生物は健全な土壌の圃場1反(約1,000㎡)に約700㎏も存在するそうです。彼らは四六時中活動を続け、常に土を豊かにしてくれるように活動しています。まさに小宇宙が足元に存在している感覚です。

残念ながら農薬やケミカル物質を土に使用することで有効な微生物は激減してしまいます。ということから、栄養供給を即物的に化成肥料に頼ることになります。

自然界のリズムの理解が進むほど、出来る限り、もともと自然界が持っている性質を活かせる方法で農業に取り組みたいという気持ちが高まります。ここがモチベーションの源泉でもあります。



上記の写真は今年度新しく取り組む圃場の写真です。雪に覆われていますが、日照時間が長く、戸隠連峰も見える風光明媚な場所です。

春になり作付けまでの間に構想が膨らみます。安心安全で栄養価豊富な野菜作りのために今年はどんなことにチャレンジしていけるか、そんなことを考えながら年末年始を過ごしました。

本年もどうぞよろしくお願いいします。

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(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/12/7にご掲載いただいたものの転載です)

戸隠地区の水谷です。師走に入って早1週間。みるみる自然の景色は移り変わっていきます。本格的な冬に移行しています。一晩で一面雪化粧に覆われる日が既に数回、夜中は氷点下になることが普通になってきました。昼夜間の寒暖の差の大きさを特に感じるこの頃です。

今年のまとめとして、1年間を振り返り戸隠の自然が与えてくれた学びを農業を中心に書いていきたいと思います。



この図は戸隠公民館さん、戸隠中学校さんで講演をさせて頂いた時、最後に使用したスライドです。農を中心を展開されていく分野を表現しました。もちろんこれだけではありませんが、私が農業に携わる中で特に感じたものです。

農業は実際大変なことが多いです。始めばかりだとなおさらで、これで生活が成り立っていくのか?と自問する回数は数え切れません。誰もが通る結構キツイ期間でもあります。でも、それ以上に縦横無尽な可能性に満ちていると感じていて、それが推進力になっています。何と言っても現場で作業している時間はもの凄く面白い。そして、農業を通じて自然と直に関わることで得る学びはプライスレスです。

「日々の食」と「技能技術」「感性直観」の項目を中心に見ていきたいと思います。

1.日々の食
「農」と「食」の関係は密接です。「私達の身体は食べたもので出来ている(You are what you eat)」という有名なフレーズがあります。本当にその通りだと思います。野菜を育てていると食の安全性への関心も自然と高まります。

栄養価が高く安心安全なものを育てて食したい、健康で元気に過ごしたい、そういう気持ちが強くなってきます。その気持ちに共感いただけるお客様に直にお届けできたらどんなに嬉しいことか。


"You are what you eat"を表現したGiuseppe Arcimboldoの絵(wikipedia)

有難いことに今年多くの方々に支えられ、それが叶いました。有機栽培で取り組んだ高原花豆と野菜を届けさせて頂きました。美味しい!といってくださった言葉は本当に嬉しく、来年への大きな励みとなります。


戸隠高原で育んだ有機栽培の高原花豆


有機野菜とエディブルフラワー(食用花)


自分たちの手で作ったお米の美味しさを今年はじめて体験できました

そして、栄養価が高く安心安心な野菜を作るためにはどうすれば良いか?
と突っ込んで考えていくと、生命力に溢れた土作りがキーポイントになってきます。

では、土作りをどのようにすれば良いか?
を考えると、「水」「光」「有機物」「微生物」「土壌構成物質群」「酸素供給量」「電位」「イオン化傾向」etc、一気にサイエンスの方面が近づいてきます。農業は本当にサイエンスと結びつきが強い分野だと実感します。why?を考え続けていくことで可能性の世界がどんどん開かれていきます。ここが面白くて仕方がありません。私にとって推進力の源泉となっています。

2.技能技術・感性直観
特に印象を残っているエピソードをご紹介させていただきます。私が最初に耕作放棄地の再生を試みた時、その隣りの圃場では専業農家でその道60年以上の80歳をこえる老夫婦がいらっしゃいました。老夫婦と言ったら失敬な!と叱られてしまいそうなくらいお元気なお二人です。気力抜群で日々取り組んでいらっしゃいます。このお年でこんなペースだったら、若い時は一体どうだったんだろうとタイムスリップして確認したいくらいのパワーと魅力に満ちていらっしゃいます。

「水谷さん、この辺りの圃場はおらたちが戦後、そうだな60年以上前に開拓をしたところなんだ。昔は全部森だった。水谷さんが今再生しようとしているところも森だったんだ。ここを仲間たちと日々開墾していった。こんな胴の大きな木なんて、伐採するのに大勢の大人で取り組んだって1週間以上かかった。そんなことを繰り返して出来た圃場なんだよ」

私はこれを聞いた時に衝撃と身震いをしました。昔教科書で北海道を開拓した人々の話しを思い出しましたが、戸隠で同じ体験をされた方から直にお聞きすると、その生々しいエピソードには驚嘆しました。と同時に、圧倒的な体験量の差に愕然としました。「昔の人たちは凄かった」と漠然とよく語られますが、凄すぎで言葉になりませんでした。こんな広大な場所を人間の手だけで開墾していったなんて信じられない、、、。

人里離れた山間部、大地には心揺さぶられるドラマがありました。

このIさんという農家は口数は少ない方ですが、実に農業のカンとコツに溢れた方でいらっしゃいます。まず、力の使い方、身体の動きが綺麗でなめらか。遠くから見ていていつも感動していました。それに天候の動きを読むカンが絶妙でした。ある日、通路を掘られていました。何をしているんですか?とお聞きすると、「もうすぐ大雨が降ると思う。水の道を作っておくんだ。そうしないとせっかくの農作物が流れてしまう。こういう風に筋道をつけておけば大丈夫」と。これは長年の作業で養われたカンに他ならず、難しい力学的な法則を知らずとも身体が覚えているということ、感動的でした。素晴らしい先生が隣りにいてくださって有難い限りでした。

農業を知るためには急がばまわれ、時間がかかっても良いから、昔の人々が行った「開墾」という動作に触れたい。開墾まで行かなくても、耕作放棄地の再生をやってみたら、学びが深まるのではという考えで取り組んだところ、当初の思惑以上にこれもまたプレイスレスな学びを得ることができました。

農業はカンやコツがものを言うのは間違いありません。サイエンスのアプローチも大事でしょうが、最後は人間の感覚が一番大事だと思います。時間がかかっても、泥臭いことをやってみたお蔭で自然界が抜群の学びの機会を与えてくれました。



これから向かっていく厳冬期。一年の振り返りと来年への計画を立てていく時期でもあります。体験し学んだことをより良く次の年に活かしていけるよう、じっくり考える時間を取りたいと思います。お読みいただき、ありがとうございました。


11月の大望峠


12月の戸隠山

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(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/9/7にご掲載いただいたものの転載です)


鮮やかな猩々緋の花が咲き乱れる7月中旬の高原花豆
一つの株から2,000~4,000もの花が咲くと言われています


戸隠地区の水谷です。朝夕は冷えを感じる季節になってきました。先月、戸隠は大豪雨を受け、60以上も災害箇所に指定される大ダメージを受けました。それから数週間、普及作業が進行する中、平常のムードにようやく戻ってきました。「雨」には様々な意味があると古来から信じられています。大豪雨も大局的に見れば、浄化・転換期・生命の再構成といった意味があったのかもしれません、、、。

さて、昨年何十種類もの品目の試験栽培を試みた中で、標高1,000m前後に位置する火山灰土が主体の丘陵地帯・戸隠高原の気候環境に適合し、耕作放棄地対策の作物として最も有力候補に思えたのがメキシコ高原原産の高原花豆です。

今年、花豆栽培に特化しようと決め、昨年から優良な種豆、資材、圃場整備、有機肥料作り、花豆生態の情報収集、良品栽培のための技術の研鑽等の準備を進めてきました。この1年は花豆を軸に農業・活動を展開してきたと言えます。

今年の作付けは約1,000株、面積的には約3反(3,000㎡)で、標高約820mと850mの2つの圃場に分かれます。いずれも耕作放棄地を再生した圃場であり、栽培用のアーチ支柱を約600m、垂直支柱を約150m設置しました。成育状況の比較検討のために株間は70~120cm程度の異なった間隔をもうけ、播種時期は3週間ほどズラしていきました。花豆は密植すると花付きが悪くなり結果として莢の結実率が低下するため、アーチ支柱の両面ではなく片面にしか花豆は植えず、かなり贅沢な使用方法をしています。

そんな花豆は5月下旬に播種を行い、約95日のサイクルを経て、9月上旬、いよいよ収穫が始まりました!多くの方々からエールとご支援を頂き、ようやくここまで来れて喜びがこみ上がります。これから降霜まで(10月下旬~11月上旬頃)は収穫&乾燥作業に忙しくなりますが、ここで写真にて5月下旬から9月上旬までの花豆の生育の様子をご紹介させて頂きたいと思います。

5月下旬~
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播種前に発芽率向上のために種前を一昼夜浸水させます


未発芽対策のために基本は2粒で播種

6月上旬~
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発芽時の生命エネルギーは感動的!





7月上旬~
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花の開花が始まります!しかし、まだ数は少ないです


7月中旬過ぎ。見た目は今とあまり変わりありませんが、莢はまだ付いていません




生態系維持に不可欠な存在のマルハナバチがよく飛び回り始めます(7月)


白花豆の方が少し早く咲き始めます(7月中旬前)





7月下旬~
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若干の気温低下が影響し莢がつき始めます
適正温度等の生育環境条件は標高800m以上でないと十分に整わないようです




8月上旬~
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莢の肥大化が始まります


いつしか支柱は見えなくなり、花豆街道が何列も出来ていました


一定の温度環境の日が続くことで次々に新しい莢が生まれています
7月下旬よりも明らかに高確率で莢が付いていきます



無数の肥大化してぶら下がる莢を見ると感動します

9月上旬~
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莢が茶褐色になればいよいよ収穫時期の到来です!


美しい花豆の紫色が変色しないよう乾燥作業も大切な工程です


収穫し始めの豆のサイズは小さめですが、色は綺麗に出ています


白花豆の真っ白な姿も感動的です


収穫初日、莢の状態確認のためプロ農家さんのいる近隣の圃場へ伺いました
すると縁起物と言われるガマガエルが晴天の下に現れました!


あらためて花豆の成長の様子を振り返ると、自然循環の力の大きさに感動します。こうして自然から生まれた恵みを食せることは何よりも贅沢です。それにその過程を経験出来ていることも財産に違いありません。その昔、日本に生きた先人は自然界の深邃な営みを観じて素晴らしい言葉を残しています。

"たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の めぐみえてこそ" (本居宣長)
(※たなつもの=「種のもの」の意)

"むかしまく 木の実 大木となりにけり 今まく木の実 後の大木ぞ" (二宮尊徳)

"良い人になれる大元は、食を正す大元なり" (石塚左玄)

今回の記事では時系列で高原花豆の成長の様子を見て来ましたが、現場での栽培を観察しながら、工夫してきたポイントが幾つかあります。花豆の原産国であるメキシコ高原の土壌・環境と戸隠高原の類似点、花豆の共生微生物(根粒菌)、根圏土壌への電子供給等の視点から良質な花豆栽培のために何ができるか、記事を改めてつきつめていきたいと思います。

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(*本記事は長野市地域おこし協力隊ブログに2017/8/7にご掲載いただいたものの転載です)


戸隠の遠景(円内が大凡の戸隠エリア)*Google Mapを元に作成

戸隠地区の水谷です。戸隠の特徴的な丘陵地帯についてはこれまでのブログ記事にも度々書いてきましたが、地形を意識しつつ今回は「水」に焦点を当てたいと思います。豊かな伏流水や綺麗な湧水が生まれる背景には、この複雑な山並みと地形との関連を考えざるを得ません。そして、戸隠は山岳信仰が盛んです。その中でも、水神・九頭龍信仰が際立っていると感じます。


江戸時代の古い巻物に描かれた九頭龍権現

以前の記事で戸隠は3つの巨大な構造線に囲まれた大地の新陳代謝が激しいフォッサマグナ地帯であることに触れました。こうした特徴ある地形で生活する人々には、物理面と精神面の双方に有形無形に関わらず相応な影響を与えていることは間違いないと思います。

戸隠の信仰を記した古い文献を紐解けば、こうした言葉が残っています。

"ここに九頭龍権現は龍王にましませば、雲を起こし雨を降らし給ふ神力自在なり"
(「戸隠詣」善光寺別当権僧正孝寛より)

"注連(しめ)張たる小樽を負ひ、忙し気に走り行く人は、九頭龍王に願い奉り、種ヶ池の水を拝借し、雨を乞うなる由。道にて休息する時は、其処へ雨降りて、願う所に験なしとて、遠国の村は手分けをなし、途中宿々に待ち受け、手渡しに持ち返るに、必ず雨を降し給ふとぞ。"
(「戸隠山往来」より)

今なお地区に住む人々の間で信仰心が脈々と受け継がれている趣を感じることがあります。農業・生活という面からは雨乞い、戸隠スキー場は雪乞い、10月下旬は新そばのシーズンを迎えることから、自然の恵みへの感謝の意も込めて戸隠そば祭り(献納祭)など、他にも数多くの神事やお祭りが催されています。

★戸隠そば祭りの様子はこちら



戸隠を代表する観光スポットの鏡池。冒頭の写真の矢印のポイントにあり、標高は約1,250mに位置します。戸隠連峰からの伏流水が合流して湖となり、背後の雄大な山々とのコントラストは多くの人々に感動を与えています。農業に従事する私としては、何て贅沢なことだろう!と思わずにいられないのが、ミネラル分が豊富な伏流水が農業利用されていることです。

生きる環境条件は、長く住んでいると今更意識することが少なくなるのかもしれませんが、知らず知らずのうちに精神面の醸成も進み、豊かな文化・信仰を築いていくベースになると思われます。

物理面から考えれば、地表面では新鮮な水を活用して微生物が代謝活動を、地下部では鉱物や清水などが無限的に分離結合を繰り返しており、直ちに人間の感覚では感得できないにしても、生態系の循環を通じて何らかの影響を受けているはずです。





上の二つの写真は鏡池に流れ行く小川のせせらぎです。透明度は極めて高く澄み切っており、水面下の何でもない小石でも宝石のように見えます。

は私達人間と密接に関わっています。生体の構成要素として最も多く占める物質が水ということは一般的にもよく知られていますが、その割合は性別・年齢で差はあるものの、約60%とされています。水以外は糖質、タンパク質、脂質、核酸などの有機化合物で構成されています。

おおよその生体成分について、下記の表をご覧ください。


(信州大学「ながのブランド郷土食」テキストより)

いかに水が生体の大部分を占めているかがわかります。人間の健全な身心の維持のためには良質な水の摂取や生活の中で触れる水への配慮が大切でしょうし、野菜も大部分が水であるため、圃場の水環境、潅水の如何によって品質に影響を与えるのは明らかかと思います。

そういう意味でも、大地から湧出したての水を農業利用出来ることは地域に生きる人々にとってはプライスレスであり、古くから水神・九頭龍信仰が盛んになった気運を感じることができます。

ところで、戸隠のご年配の農業者の方々から昔の農業の様子を聞く機会が度々あります。「昔はカヤや雑草、森林の落葉等を圃場に運び、牛糞と混ぜて1~2年かけて堆肥にしていたんだ。熟成させたら土中にすき込むことで肥料としてはこれで十分で、良質な野菜が収穫できた。こんな野菜を食べていれば一生健康だよ!」と。これを聞く度に、又も何て贅沢な自然循環を活かした農法なんだろう!と思わずにいられません。

今でもカヤやワラを圃場に雑草対策と自然分解による栄養供給をねらって、細かく粉砕して使用する農業者が地区に何人もいらっしゃいます。私も作業を傍で見させて頂きましたが、とても参考になります。


冬前にウッドチッパーでカヤが粉砕されている様子


粉砕されたカヤは天然由来の資源として今でも重宝されています

カヤの化学組成の詳しいデータは見たことがありませんが、おそらくワラと似た成分で構成されていると思われます。ワラは水分、炭素(C)、窒素(N)が大部分を占め、リン酸(P)、カリウム(K)も少量含まれます。カヤはワラよりも固く、分解に時間がかかりますが、昔の農法を知る70~80代の大ベテランの農業者の方々は「やっぱり堆肥にはカヤがいい」とおっしゃる方が多いのが印象的です。分解に時間が必要な分、肥効がゆっくり長く持続されるということでしょうか。

微生物の分解力をかりた知恵の技法、カヤが天然由来の肥料として活用されていたという体験談は貴重でした。茅葺屋根にも使われてきたカヤは昔から人々の生活、農業に密接に関わり、循環的な生活の一部として重要な存在であったに違いありません。当時、古くなった茅葺屋根のカヤは畑に持っていき、堆肥にしたそうです。自然に密着した生活水準の高さを物語っていたエピソードです。

さて、また水との関連について考えたいと思います。水分子は極性の強い物質であるため、塩類をよく溶かし、イオンに解離するとされています。金属イオンの中には、人間や植物の生体維持のために微量でありながら、必須のものがいくつかあります。カルシウム(Ca²⁺)、マグネシウム(Mg²⁺)、カリウム(K⁺)等はその代表格です。





カヤやワラのような中山間地の日常生活に密着してきた資材や大地の基盤、つまり土壌を構成する砂利や鉱物にも微量要素は含まれます。こうした物質と水が交われば、様々な微量要素がイオンへと解離し、溶媒の水を通じて、人や植物に取り込まれて栄養分として活用されていきます。

先に触れた通り人や植物、菌類の大部分は水で組成されています。水が微量要素を生体に届ける上でも重要な溶媒特性を持っているのは今見た通りです。微生物の活動のためにも水は必要不可欠です。生態循環を通じて水を眺めると、改めて良質な水は如何に尊い存在であるかを痛感させられます。自然界でそれぞれの性質が重畳的に関わり合っている様は驚くほかありません。

こうしたミクロの世界での営みを大昔の人達は、鋭敏な感覚で捉えていたのでしょうか。現代の感覚から当時の様子を伺うことは困難ですが、脈々と受け継がれてきた水神・九頭龍信仰の形成には、丘陵地帯から誕生する新鮮な湧水が豊富にあったという事実が何よりも影響しているのではないかと感じます。



さて、早いもので5月の定植期から約3カ月経ちました。定植間もない頃は野菜が大きく育ってくれるか心配はつきものですが、6月、7月と成長を続け、無事収穫をむかえています。寒暖の差が大きい高原で栽培される果菜類の味わいの深さは今年もしっかりと堪能させてもらっています。本当に味が濃くて美味しいですよ!野菜は良質な水の供給のお蔭もあってか、エネルギーの高さには毎日驚かされます。


昨年、自家採取をしたミニトマトの種から育てたら今年は黄色になったものも!


珍しいフィオレンティーノというトマト。こちらも種から育苗しました。


夏野菜とエディブルフラワー(食用花)を盛り付けて。


高貴な紫色に惹かれるリンドウ。戸隠でよく栽培されています。


高原花豆の花に入り一生懸命仕事をするマルハナバチ。

最後にマルハナバチについてです。7月中旬頃からでしょうか、圃場に沢山のマルハナバチが飛ぶようになりました。本当に良く働いてくれるなぁと感心。花豆は自家受粉の性質を持つとされていますが、マルハナバチが盛んに飛んでくれている方が鞘の結実率が向上するような気がしています。

蜂は生態系に欠かせない存在です。蜂が受粉を助けている農作物の多くを人間も食しています。多くの専門家が蜂がいなくなってしまうと食糧難に陥る可能性が高いと指摘しています。近年、大気中を四六時中飛び回る人工的な磁気(携帯電話の基地局の増加等)の影響や、蜂の機能を阻害する成分を含む化学物質の散布によって(農作物への消毒等)、蜂が危機に瀕していることを知る人も増えつつあるかと思います。

解決のためにはどうすれば良いか?

今年試みた一つの方法は農作物と食用花(エディブルフラワー)を混植(コンパニオンプランツ)です。確かに蜂の数が増加した気がします。蜂の生命を維持できる環境を作り出すホンのささやかな取り組みです。

目下、有機農法に取り組みつつ、出来る限り自然環境との調和した農業と生活を模索しています。

【参考文献】
・「戸隠山開山」佐藤貢
・「戸隠山九頭龍考」瑞戸信駒
・「信仰と文学の十字路をゆく」宮下健司、山下智之
「ながのブランド郷土食」テキスト(信州大学工学部大学院)

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プロフィール
水谷翔(地域おこし協力隊 戸隠地区)
水谷翔(地域おこし協力隊 戸隠地区)
三重県桑名市生まれ。
2016年5月、長野北部・戸隠に移住し農業に取り組んでいます。
戸隠は3つの巨大な活断層に囲まれたフォッサマグナ地帯であり、火山灰土+海底隆起の肥沃な土壌が魅力的です。
無農薬・有機栽培・標高850m。
高原花豆・果菜類に力を入れています。

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